[大阪 26日 ロイター] 日米当局が米ボーイング
運航停止に伴う補償の動向などなお不透明な部分が残るものの、需要増が見込まれる787機向けのリチウムイオン電池は引き続き1社での供給が続く見通し。ただ、同社が成長戦略の柱の一つと位置付けるリチウムイオン電池事業を拡大するためには、同電池の万全な供給体制の維持と従来以上の安全重視の生産管理体制の構築が求められる。
<安堵も表情硬く>
「787が飛ぶところを目指してやってきた。何よりだ」。運航再開のめどが立ったことを受け、GSユアサ幹部は安堵の声を上げるが、表情は硬いままだ。同社の航空機向けの売上高は全体の1%にも満たないとはいえ、バッテリートラブルが再発すれば、リチウムイオン電池の安全性への疑念が強まるのは必至だ。
また、同社が三菱商事
<海外展開に影響も>
787型機の運航再開は、結果としてGSユアサの技術がボーイングから再評価されたとの見方もできるため、同社が「産業用電池事業を伸ばす上で非常に大きなインパクトになる」(国内金融系アナリスト)と指摘する向きもある。
一方、LEJのトラブルは性質が異なる。今後、同社が海外の自動車メーカーから受注を獲得する上で「影響が出る」(同)との声も出ている。
車載用リチウムイオン電池の生産は、トヨタ自動車
GSユアサ幹部は、LEJの運営について「(三菱グループと)一緒にやっていく方向性は変わりはない」と話す。リチウムイオン電池の不具合の再発防止策も三菱自と結束し、万全の体制で臨む考えという。また、GSユアサ51%、三菱商44.6%、三菱自4・4%とするLEJの出資比率についても変更する必要はないとし、補償リスクに関しても「財務基盤に影響を及ぼすほどの大きな影響ではない」との見方を示す。
787機運航再開の認可を受け、GSユアサ広報室は「喜ばしいことだと思っている」とコメントした。一方、発火トラブルの原因については、当局の調査が継続しており、「ノーコメント」だとしている。ボーイング、三菱自との強固な関係を維持しつつ、納入先をどう広げるか、手腕が試されている。
(ロイターニュース 長田善行;編集 内田慎一)