7月5日に行われたギリシャの国民投票の数日前、銀行の外で号泣する77歳のギリシャ人男性を写した写真がメディアで大きく取り上げられ、話題になった。
写真に写っているのは、年金生活をするイオルゴス・チャッチフォシャディスさんだ。この日彼は妻に代って年金を受けとるために4つの銀行で列に並んだが、結局120ユーロ(約1万6000円)を引き出すことはできないと告げられ、銀行の外に座りこんで泣いていた、とAFP通信は伝えている。
彼が泣き崩れた理由は、「自国がこれほどの窮地にあることに打ちのめされた」からだという。
ギリシャの現状を映し出すこの象徴的な写真に目を留めたのが、オーストラリアのシドニーに住むジェームズ・クーフォスさんだった。ローン会社「ギャップ・ファイナンス」のCEOを務めるクーフォスさんは、この77歳の男性が偶然にも自分の父親の古い友人であると母親から告げられ、驚くと同時に彼のために何かしたいという気持ちに駆り立てられた。
そこで彼を探すために、クーフォスさんは7月5日にFacebookでこのように呼びかけた。
「この男性は、他界した私の父の古い学友です。ギャップ・ファイナンス社と私は、この男性に12カ月分を足した年金を支払います。それがいくらでもかまいません。誇り高く勤勉なギリシャ人男性が飢えに苦しむ姿を見たくはありません。どうかお願いします。この男性の関する詳しい情報をご存じで、居場所が分かる方がいればご連絡いただけないでしょうか」
熱心な訴えのかいあって、クーフォスさんはついにチャッチフォシャデイスさんを見つけ出すことができたと、ニュースサイト「News.com.au」が伝えている。クーフォスさんは7月11日にギリシャに渡ってチャッチフォシャデイスさんと会う予定だ。
クーフォスさんによれば、Facebookに記事を投稿した後、チャッチフォシャデイスさんを助けたいと思った人たちから、計4000~5000ユーロ(54万円~67万円)が送られてきたという。クーフォスさんは父親の遺産の一部をチャッチフォシャデイスさんの年金の支払いにあてるつもりだとも述べている。
父親の古い友人とはいえ、異国の見ず知らずの人をどうして助けようとしたのか、クーフォスさんは、オーストラリア版デイリー・メール紙に次のように語っている。
「私たち人間は、心を強く打たれると衝動的に行動することがあります。私は彼の写真を見て心を打たれ、とにかく何かをしなければならないと感じたんです」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:梅田智世/ガリレオ]
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