アメリカの通信社「ブルームバーグ」は、11月21日に「ギリシャにチャンスを」と訴える社説を掲載した。その中で、同社は欧州委員会、欧州中央銀行、国際通貨基金(IMF)のいわゆる「トロイカ」と呼ばれる3つの機関がギリシャの財政状況にとって逆効果になりかねない不合理な政策を要求していると批判した。
「ギリシャの債権者たちは、再び国の忍耐力を試している」とブルームバーグは社説で述べた。「債権者が圧力をかけ続ければ、ユーロ圏は解体してしまうだろう。解体になれば、ギリシャ国家同様、債権者にとっても災難となる」。
アントニス・サマラス首相は現在、「トロイカ」との困難な交渉に釘付けとなっている。この3機関は、2013年の春、ギリシャが財政危機に陥った時、ギリシャの財政を支援している。
アントニス・サマラス首相
ロイターによると、「トロイカ」と、ギリシャ政府と債権者たちは、主に国の財政赤字について意見が分かれている。「トロイカ」は、ギリシャへの救済措置として金融支援を行う見返りとして、さらなる財政支出の削減を要求している。
ブルームバーグの社説によると、その支援策は過酷だ。「財政引き締めにより債務を減少させようとさらなる努力をしているが、ほぼ間違いなく失敗するからだ」と主張する。「財政緊縮の努力が、ギリシャを政治的に不安定にしていると思われているが、確かにそうであろう」。
ギリシャ政府は難しい立場に立たされている。なぜなら、多くのギリシャ人は、2013年に合意した金融支援の一環として、国が引き受けた財政緊縮政策に耐え切れなくなっているからだ。
ブルームバーグによると、ギリシャは過去5年間で主要な財政収支(利子支払い除く)を国内総生産(GDP)で10.6%の赤字から、1.5%の黒字に転換させた。1年で20億ユーロ以上の差だ。しかし、金融の引き締めによって、経済は失速した。ギリシャの生産高は約5分の1まで落ち、そして失業率は25%以上にまで達した。
ここにきて経済は回復基調にある。しかし、さらに引き締めが続くとこの成長の拡大局面が危険な状態に戻りかねない。債務に対するGDPの比率の削減目標が達成不可能になる可能性がある。この比率は、現在は180%である。そして、目標とするEU各国の平均は60%である。
10月末に発表された世論調査によると、今ギリシャで総選挙を行えば、アレクシス・ツィプラス氏率いる左派スィリザ党が、首相サマラスの党に勝利するという予想が出た。
スィリザ党のアレクシス・ツィプラス氏
ブルームバーグの社説によると、来年の選挙でスィリザ党が政権を取れば、欧州全体に影響が及ぶという。「ツィプラスは進んで一方的に、債権者に損失を強制するかも知れない」「ポルトガルやスペインの反対派の党も同様に勢いを失い、注意深く見守っているところだ。もし市場が債務不履行の高まりに動揺し始めれば、引き続き起こる混乱は、全ヨーロッパを危機に陥れるだろう」。
11月20日、ギリシャのカロロス・パプーリアス大統領は、ハフィントンポストのプレジデント兼編集長アリアナ・ハフィントンとの会見で、交渉を継続している「トロイカ」を激しく批判した。「トロイカ」はまるで「人間ではなく、岩にものを言っている」かのような振る舞いをしていると述べた。
アリアナ・ハフィントン編集長と会見するパプーリアス大統領
同日、ハフィントンはこの会見の前に、ギリシャ人に「トロイカ」の要求を拒否すべきと求めていた。「ギリシャは厳しい局面に立たされています。私の意見を申し上げるならば、トロイカに対して『ノー』と表明することが大切だと思います」とハフィントンは語った。
ブルームバーグビューは、フランスやドイツなどの国は、ギリシャに財政緊縮の手段の追加を求めるのではなく、ギリシャが債務救済を必要としていることを認める方向に進むべきだと主張した。
財政上の勘定を理解するのは難しくはない。最終的に、何らかの方法で、ギリシャの債務は減額されるだろうし、このことは広く織り込み済みである。債務減免により、秩序正しく、そして最低限の被害で達成できる。なぜなら、もう一方の方法―無秩序な債務不履行―にかかるコストは、莫大なものになるからだ。
交渉の期限は12月8日である。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー