ギリシャにEUが最後通告、金融支援を拒否

EUはギリシャ向け金融支援の期限を延長せず、予定通り終了すると決めた。EU側が、事実上の最終通告を突きつけた格好だ。ギリシャのツィプラス首相は議会で
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Greek Prime Minister Alexis Tsipras delivers a speech during a parliamentary session in Athens on June 28, 2015. Greece will hold a referendum on July 5 on the outcome of negotiations with its international creditors taking place in Brussels today. AFP PHOTO / ANGELOS TZORTZINIS (Photo credit should read ANGELOS TZORTZINIS/AFP/Getty Images)
ANGELOS TZORTZINIS via Getty Images

欧州連合(EU)は6月27日に開いたユーロ圏財務相会合で、6月30日に期限を迎えるギリシャ向け金融支援を延長せず、予定通り終了すると決めた。EU側が、事実上の最終通告を突きつけた格好だ。27日未明に、ギリシャのツィプラス首相が唐突に「国民投票を実施する」などと表明したことなどが反発を招いた。

ギリシャは30日の期限までに、国際通貨基金(IMF)からの約15億ユーロ(約2100億円)の借金を返せず、財政破綻(デフォルト)に追い込まれる可能性が高まった。ギリシャ国内では金融システム崩壊の懸念が強まり、現金自動支払機(ATM)の前に長蛇の列ができている。

なお、ギリシャ議会は28日未明、賛成多数で国民投票の実施を承認。大統領の了承を得て実施される予定だ。

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■ツィプラス首相が突然、国民投票案を表明

ギリシャはユーロ圏の国々・欧州中央銀行(ECB)・国際通貨基金(IMF)からなる「トロイカ」体制の債権者から2010年と2012年に総額で2400億ユーロ(約32兆円) の救済を受けており、厳しい緊縮財政政策の実施を迫られていた

この緊縮財政政策に反対し、2015年の総選挙で首相となったのがツィプラス氏だ。ツィプラス氏は「景気低迷期にあっても国を圧迫させない、そして、国民が悲観的になったり貧乏になったりしない」という返済条件を掲げて交渉にあたり、2月末とされていた返済期限を6月まで4カ月伸ばすことに成功した

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総選挙に勝利した時のツィプラス氏

引き続き行われた交渉では、ギリシャは年金支給の大幅カットには踏み込まない一方で、増税などで財政赤字削減目標を達成するという改革案を提示。これに対して、EUやIMFなどの支援側は、年金カットなどより厳しい緊縮改革案を求め、これをギリシャが受け入れれば、金融支援プログラムをさらに5カ月間延長することを提案していた

ところが、ツィプラス首相はこれを拒否。6月27日未明、EUなど債権者側が支援の条件として提示した財政再建案の賛否を問う国民投票を、7月5日に実施することを表明した。テレビ演説で「ギリシャよ、ギリシャよ」と呼びかけ、債権団による提案は「すべての当事者が納得できるものではなく、すべての人々にとって屈辱となりかねない。最後通牒にのために国民の答えが必要だ」と訴えた。

私たちのために、将来の世代のために、ギリシャ人の歴史のために。私たちの人々の主権と尊厳のために。

■EU諸国は「奇策」を拒否

しかし、債権団はツィプラス首相の「奇策」を認めなかった。27日に記者会見したユーロ圏財務相会合のダイセルブルーム議長(オランダ財務相)は、「残念ながら、ギリシャ政府は我々が示した構造改革案を拒否した」とギリシャを批判。「残念だが30日で支援は期限切れとなる」と述べ、国民投票の実施について審議しているギリシャ議会に、適切に判断するよう求めた。

ただし、「交渉のドアは開かれている」とも述べ、再交渉の可能性に含みを残した。

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ダイセルブルーム議長 (JOHN THYS/AFP/Getty Images)

ユーロ圏財務相会議はギリシャを除く18カ国で協議を継続。ギリシャの金融市場の混乱が欧州市場や世界市場に波及しないため、危機対応策を話し合うことも明らかにした。

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■ATMに列をなすギリシャ国民、ツィプラス首相は「尊厳を持って」

ギリシャでは27日の朝早くから、国民が預金を引き出そうとATMの前に長い列を作った。ブルームバーグは週明けにも、市中銀行が預金の支払準備として保有している現金準備が不足する可能性があると報じた。ATMに並んでいた一人は「何が起こるか非常に心配だ。国民投票で何を求められているのかわからないからだ。これはギリシャの棺おけの蓋に打ち込む最後の釘だ」として、国民投票がギリシャの破綻を決定づけるとの考えを示した。

一方で、国民投票を行うかどうかを議論しているギリシャ議会は、EU側の最終通告を受け紛糾した。

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野党議員らは「国民投票はギリシャをユーロ圏からの離脱に追い込み、国民をさらに追い詰めるだけだ」「国民投票などに国の予算を投じている場合ではない」などと国民投票の実施に反対。前回の総選挙で首相の座を追われたサマラス氏は、「あなたは、EU離脱を目指しているのではないか。ドラクマ回帰を狙う人がロビー活動をしている」とツィプラス氏を非難。「国民はあなたと自滅するのはごめんだ」などと述べた。

陽気なツィプラス首相も、今回はさすがに苦い表情だ

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ツィプラス首相は「歴史的に重要な日だ。ささいな議論は必要ない。サマラス氏に答える必要もない」とコメント。次のように反論した。

「これまでの5年間、ギリシャ国民の尊厳が奪われてきた。さらに厳しい条件にサインすること、つまり、緩やかな死に署名することが求められたのだ。人々は尊厳の中に生きることを求めている。関係者とお互い尊厳を持って、交渉にあたりたいのだ。

ギリシャは後戻りはしない。子供たちのための、次の世代のための選択なのだ。

次の日曜日(7月5日)に国民投票が普通に行われ、国民が判断を下すだけだ。私はギリシャの人々が、歴史の最高レベルまで高められると確信している」

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