科学者たちは、1世紀にわたって太平洋のワシントン沿岸沖で生きていた世界最高齢の有名なシャチ「グラニー」がすでに死んでいると考えている。
アメリカ・ワシントン州ピュージェット湾で過去40年間グラニーの群れを観察してきた鯨類研究センター(CWR)が2016年12月31日、公式サイトでこの悲報を発表した。
J2としても知られるグラニーの推定年齢は75歳から105歳の間と考えられていた。CWRによると、最後に目撃されたのは10月上旬だった。
「年末までに彼女は『サザン・レジデント』(グラニーが属していたシャチ個体群)に生息するシャチの個体群から本格的に姿を消しました。残念ながら、死亡したと思われます」とCWRのケン・バルコム氏は述べた。
グラニーは群れの族長だった。背びれにある三日月形のへこみが彼女の特徴だった。
「過去40年間、そして近年も、J2とは何千回も会いました。いつ、だれが観察したときも、彼女は事実上群れを率いて先頭にいました」と、バルコム氏は言う。「彼女は前へ進み続けていました。まるでエナジャイザー・バニー(電池のイメージキャラクターになっているウサギの人形)のようでした」
グラニーは背びれの小さなへこみで見分けられた。
キラーホエールとしても知られるシャチは、カナダとアメリカの両国で絶滅危惧種に指定されている。
2006年にシアトル・ポスト・インテリジェンサー紙は、1960年代にピュージェット湾で娯楽のためにシャチ狩りをしていたハンターたちについて報じた。その期間、アメリカ最大の水族館シーワールドのシャチショーの主役だった「シャムー」が捕獲され、グラニーの群れもハンターの標的になっていた。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、シャチはおよそ100年生きることができる。動物の飼育環境について批判を浴びる「シーワールド」はサイト上の説明でその寿命年数幅を狭めている。少なくとも太平洋岸北西部では、メスの個体は30年から50年、オスの個体は19年から30年としている。
CWRによると、「サザン・レジデント」に生息するシャチへの脅威となるものとして上位に挙がるのは、汚染、船舶によるかく乱、食べ物の不足などだ。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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