政府がビッグデータ活用した新マクロ指数作成へ、世界初の試み
政府はビッグデータを活用した新たなマクロ経済指標の作成に乗り出す。実現すれば、世界で初めての試みになる。
具体的には現行の月次の景気動向指数よりも短いサイクルですばやく景気の動きを把握・予測する新指数の設定を目指す。内閣府関係者が17日、ロイターに対して明らかにした。景気の現状判断や将来予測を迅速に実行でき、マクロ分析の有効性を飛躍的に高める可能性を秘めている。
内閣府によると、「新景気指数」開発のため来年度に有識者による研究会を発足させ、採用するビッグデータの選別や指数の開発、頻度、公表時期などを検討する。研究会発足のため、内閣府は来年度予算案の概算要求で1300万円を要求。小売業などで使われる在庫・売り上げ管理などの販売時点管理システム(POS)など、分析の参考となりそうなデータの購入費に充てる。
また、統計学などの専門家で構成される有識者会合を開催し、様々なビッグデータから景気との連動性の高いデータを選択し、新たにどのような手法で指数を作るか検討する。同時に新指数の作成頻度を毎日とするか週単位とするかなども検討する。
内閣府関係者によると、ビッグデータを活用して景気指数を作成している国はなく、この試みが成功すれば、世界で初めての実用化になる可能性が高い。
内閣府は現在、月次の鉱工業生産や雇用、電力使用量、商業販売統計、金融市場指標などを総合して景気動向指数を作成しているが、全ての統計が出そろうのを待たなければならず、発表時期は2カ月遅れとなっている。
また、一致指数・先行指数とも11の指数を統合して作成しているが、構成する指数が生産関連の動向に影響されやすい。
その結果、同指数をもとに判断している景気の山・谷が決まるのは、1年以上経過してからとなる例が多い。
もし、新指数が早期に実現できれば、景気の現状把握や将来予測をより迅速に行うことが可能になる。
ビッグデータを活用し、マクロ経済指標を作成する動きが拡大していけば、消費関連データなどを中心により早く、より正確に作成するということが可能になる。足元で議論になっている消費税増税のマイナスインパクトの計測なども、一段と迅速に実行できると予想されている。[東京 17日 ロイター]
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