1999年の人類滅亡は「多少、時期がずれた」。『ノストラダムスの大予言』の五島勉さんは警告していた

日本中に衝撃を与えたベストセラーの作者が死去。2004年に取材すると核戦争以外の人類の危機について指摘していた。
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250万部を超えるベストセラー「ノストラダムスの大予言」の著者として知られる作家の五島勉(ごとう・べん)さんが6月16日、埼玉県内の病院で死去した。死因は誤嚥(ごえん)性肺炎。90歳だった。時事ドットコムなどが報じた。

五島さんは1973年に祥伝社から「ノストラダムスの大予言」を出版。核戦争などで「1999年7月に人類は滅亡する」と訴えていたが予言は外れた。

それから5年後の2004年、私は『封印作品の謎』(太田出版)を書いた際に、五島さんに電話取材した。彼は人類滅亡の「時期がずれた」ことは認めつつ、核戦争ではなく、ウイルスなどによって滅亡する可能性を指摘した。

五島さんが例示したのは、1999年にアメリカで問題になったウエストナイルウイルスのことだった。

当時の取材メモから、五島さんの言葉を振り返ろう。

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五島勉さんの著書「ノストラダムスの大予言」
祥伝社

 

■「危機感を持つことによって人間は克服できるんです」

――1999年に人類が滅亡しなかったことについて、どう考えていますか?

警告の意味は果たしたんじゃないかと思うし、ちょっと時間はずれましたが、2001年からニューヨークの(同時多発)テロから始まって今のような状態になっていますよね。だから、そうした人類が滅茶苦茶になるような危機が来ることをいくらかの人達でも受けとめて、それに対する対策みたいのもやってくれた面も少しあったと思います。そうでないと、ニューヨークのテロの場合でも2000年ごろから『危ないぞ』ということを警告して、必死に対策を取らせようとしていた人達がものすごくたくさんいたということが、後で段々分かってきましたよね。アメリカの当局者がそれをあまり重視しなかったということがあります。

1999年にはニューヨークのクイーンズ地区で西ナイルウイルス(ウエストナイルウイルスの別名)の感染者が出ました。これは蚊が媒介するウイルスで、1999年の8月ごろにものすごいことになったんですね。ジュリアーノ市長が決断して、殺虫剤を飛行機から大量に撒いて、何とかその場は収まったという話がありますね。

だから1999年にいろんな危機が起こりました。私は一番危ないのは核戦争だろうと思ってたけど、それだけじゃなかった。ウイルスだとかテロとか、段々と地球が水没していくような(温暖化の)危機とか、日本だけでも子どもが少なくなっていって、社会全体が非常に危機的な状況になっているのは事実です。だから、それに対してなんとかしなきゃならないという意味では、いくら警告しすぎてもしすぎるってことはないと思います。

―― つまり1999年は過ぎたけど、人類滅亡の危機は続いてるということでしょうか?

はい。多少は時期がずれたし、内容も核戦争だと思っていたのが、ウイルスかもしれないという形でずれていますが、そういったものを全部含めてね。それは数百年前と比べてみれば分かることで、核兵器だってウイルスだって、人間がかつてなかった危機的な状況になっているんですよ。人間はそれを克服していくでしょうけど、克服するためには危機感を持たなきゃいけない。危機感を持つことによって人間は克服できるんです。

しかし、今の社会は、危機感をできるだけ持たせないようになっています。遊園地の子どもの遊具とかも、見たら危ないってことが分かるのに、危機感というのが役人にもお母さんにもない。子どもが実際に変なブランコに押しつぶされて死んでから、初めて『危ないわね』ということになるわけです。全部、そうなんですよ。事故が起きる前に危機を感じ取るだけの感受性を、みんなが持ってやっていけば、テロでも遊具の事故でも防げるはずなんですね。そこに私の真意があります。