ゆとりあるグーグルが発想することは???

ドローンによる商品発送を2017年に開始する見込みと発表したグーグルだが、その意図は定かでない。

グーグルは新会社「アルファベット」を設立し、その傘下に入るという目眩ましのような組織改編をやりましたが、そのアルファベットがドローン(無人機)による商品配送を2017年に開始する見通しだと発表しています。

現在の事業とは関連しないし、また得意でなさそうな分野だけに、どこかの物流企業を飲み込むつもりなのでしょうか。

グーグルの本質は広告ビジネスです。スマートフォンのOSでグーグルのアンドロイドが8割強を占め、グーグルプレイで音楽やアプリも売っているとはいえ、いまでも年間660億ドル(約8兆円)を超える売上高のほぼ9割は広告収入です。つまり、ビジネスとして成功しているのは広告事業だけなのです。

スマートフォンでも、スマートフォン事業そのものはアップルが業界利益を独占していて、グーグルが得ているのは、やはり検索広告からの収入です。

しかし、それでも年間およそ140億ドル(1.7兆円)の税引き後の利益を稼ぎだし、700億ドル(8.5 兆円)を超える潤沢な手元資金があるから、「目先の利益を追わず大きな投資を数多く実施する」ことも可能になってきます。アルファベット(グーグル)はゆとりたっぷりの企業なのです。

自動走行車も、もしかすると将来は自動車産業にイノベーションをもたらして、業界を支配しようと真面目に考えているのか、群雄割拠の業界で厳しい競争にさらされ、法的な基準をクリアするというハードルを乗り越え、それでも利益をだせる才覚があるのか、自動車でも広告収入を得ようとしているのだろうか、はたまた技術を提供して社会貢献し、ライセンス収入を得るつもりなのかとなかなかパズルが解けないのですが、意図がよくわからないのがアルファベット(グーグル)です。

さらに理解に苦しむのがドローンによる商品配送への参入です。アマゾンやウォルマートが試みるというのは当然でしょうが、なぜアルファベット(グーグル)なのでしょう。

きっと私達のような凡人が発想するのとは違う次元でビジネスを考えているのだとしか思えません。ただどうせなら、自動運転とか、ドローンとか、みんなが考えつき、しかもやっていることではなく、もっとぶっとんだチャレンジをしてくれたほうが、夏の夜空に咲き誇る花火を眺めるような感動を得られそうですが、どうでしょうね。

(2015年11月5日「大西 宏のマーケティング・エッセンス」より転載)