Google が物流用の小型無人機開発計画 Project Wing を発表しました。オーストラリアで実施された公開試験に登場した試作機は、重さ10kg程度の小型ドローン。
ボディ全体が翼になった全翼デザインに4つのローターを備え、垂直離着陸やホバリングで空中に静止して荷物の投下ができる一方、地点間の移動時には横を向いて固定翼を使う飛行機として、高速かつ効率的に飛べることが特徴です。実際の動画は続きをどうぞ。
Project Wing は、Googleの先端技術研究所 Google X で2年前から秘密裏に開発が進められていた計画。Google X といえば自動運転ロボットカーや、メガネ型端末 Google Glass を開発した組織です。
Project Wing の目的は、災害で孤立した地域など通常の手段では物流が難しい場所に、医薬品やバッテリー、修理部品、道具などを迅速に届けること。当初は救急医療のために、心臓発作を起こした患者の元に救急車よりも早く除細動器を届ける手段として考案されました。
オーストラリアでの公開試験に使われた試作機は、ペイロードを含めた重量が約10kg、うち本体は約8.5kg。荷物は本体中央の小さな凹みに「egg」と呼ばれる容器に収められ、目的地の上空から投下されます。egg はテザー(ケーブル)で本体とつながっており、地面近くまで落ちて中身を届けたのち、再び巻き上げられて再利用されます。
今回の実験にオーストラリアが選ばれたのは、ドローンの飛行に対する制限が米国よりも少ないため。
Google の開発者いわく、1台で運べる量は限られるものの、ドローンは一度目的地を設定すればあとは自律飛行で往還できるため、繰り返し飛行することで多くの荷物を運ぶことが可能。今回公開された試作機はあくまでテイルシッター型ドローンのコンセプトを実証するための機体で、今後は実用化に向けてさらに違ったドローンの開発が進められる予定です。
Googleは当初の目標として災害時の物資配達を挙げていますが、将来的にはネットで買い物をすると当日どころか数十分単位で届く一般物流向けへの応用も視野に入れています。
配達用のドローンといえば、アマゾンは昨年末に8ローターのヘリコプター型ドローンを使った配送システム Amazon Prime Air の開発を表明していました。
こちらのコンセプトデモ機はヘリコプター型。アマゾンは2015年以降の Prime Air 提供を目指し、商用ドローンの許認可ルール作りに向けて米国当局と話し合いを続けています。
また、ローターを使った垂直離着陸とホバリング+固定翼で巡航モードになる無人機といえば、米国MLB Compnay の V-Bat もあります。
こちらは米DARPA 出資の研究として、V-Bat に周囲状況を認識するカメラとアームを追加して、自律判断で長距離を移動しペイロードを正確な場所に設置するロボット飛行機としてのテスト風景。
【関連記事】
(2014年8月29日Engadget日本版より転載)