なぜGoogleはロボット開発に全力を挙げるのか

なぜGoogleはロボットを必要とするのだろうか?Googleはすでにユーザーのポケットの中、つまりモバイル市場を制覇している。しかしこの市場はすでに飽和点に近い。世界には何億台ものインターネットに接続可能なモバイル端末が稼働しており、その多くがAndroidかiOSを搭載している。この先10年ほどは買い替え需要と小刻みな改良を除いて大きな動きは望めない。
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Googleはすでにユーザーのポケットの中、つまりモバイル市場を制覇している。しかしこの市場はすでに飽和点に近い。世界には何億台ものインターネットに接続可能なモバイル端末が稼働しており、その多くがAndroidかiOSを搭載している。この先10年ほどは買い替え需要と小刻みな改良を除いて大きな動きは望めない。

もちろんGoogle Glassはこれと別の新しい動きだ。Glassはわれわれをスマートフォンよりはるかに密接にGoogleサービスに結びつける。Glassのユーザーは地図でのナビゲーションからレストラン選び、写真やビデオの撮影、その他あらゆる活動によってGoogleから情報を得ると同時にGoogleのために情報収集役を務めることになる。GlassのユーザーはGoogleにとって最高の顧客となる。しかしそれでもGoogleは満足しない。

他にうまい言い方がないのだが、これまでGoogleは「手足を欠いていた」。 われわれ人間のユーザーはアリと同じで、ほとんどの場合、定型的な行動しか取らない。毎日同じ経路で通勤し、巣から遠くへ離れることは少ない。Googleはデータ企業であり、人間のユーザーが集めてくるデータよりはるかに大量のデータを必要としている。ここでロボットが登場する。宇宙探査、より精密な地図データ取得、工業的生産プロセスの大幅な改良など、向こう数十年に起きる革新の多くはロボットが主導することになるだろう。

Baxterのようなシンプルな人間型ロボットは何百万人もの人間の職にとって代わるだろう。その結果、製造業における深刻な人余りをもたらすに違いない。Foxconnのようなメーカーはすでに巨額の資金をロボット開発に投じている。遠隔操作タイプであろうと自律タイプであろうと、各種ドローンは人間の諸感覚を劇的に延長する。 われわれはロボットのセンサーによっていながらにして遠く離れた場所についての知識を刻々と得ることができる。そのうちわれわれが病気になったときは介護ロボットが ベッドから起こし体を清潔にするなど世話をしてくれることになるだろう。小型のロボットが減量を手助けし、町をパトロールするだろう。今ロボットへの投資に出遅れている企業は今後何十年にもわたってそのツケを払うことになる。

だからGoogleはロボットを必要としているのだ。Androidが7000万人ものユーザーのインターネットへの通路となったのと同じように、Googleはロボットのマン・マシン・インタフェースを制覇したいのだ。GoogleがAndroidを買収してモバイルの世界に参入を決めたとき、多くの専門家は「無意味だ」と批判した。専門家は完全に間違っていた。同じことがロボットについても言える。

GoogleがBoston Dynamicsとその他7社のロボット企業を買収したのは今すぐ四脚のBig Dogロボットを大量生産して町を走り回らせるためではあるまい。しかしBoston DynamicsのPETMANのような二足歩行人型ロボットで踏破困難な地形に送り込んで地図データの収集に当たらせることはあるかもしれない。将来はGoogle Nowのハードウェア版のような役を果たすアシスタント・ロボットが登場するだろう。われわれの後を従いて歩き、さまざまな手助けをし、一度に2箇所にいる必要が出たときはアバターとなってわれわれを代理してくれるようなロボットだ。われわれがロボットに頼れば頼るほどGoogleは貴重なデータを得ることができる。

ビジネス上の観点も見逃せない。ロボティックスは巨大産業だ。アナリストは数年以内にBoston Dynamicsが50億ドル企業に成長すると予測していた。Googleが買収したロボティックス企業はいずれも同じくらいの成長の可能性を秘めている。Googleの無尽蔵の資金力と巨大なマーケティング能力を得た現在、これらの企業は消費者向けから産業向けまであらゆる市場で一大攻勢をかけられる可能性を得た。

すぐにシリコンバレーをロボ・グーグラーが歩きまわるようにはならないだろう。しかしGoogleが自動走行車をついに成功させた例を見れば、今後10年以内にサーゲイとラリーが二足歩行人型アシスタント・ロボットを従えて登壇する日が来るだろうと私は予測する。Googleがスカイネット化する日は近い。

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