グーグルが侵食するマイクロソフトの牙城

資料の作成、また保存や共有などができるグーグルドライブは15GBまでの利用は無料ですが、月額料金を払えばさらに容量を増やせます。
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資料の作成、また保存や共有などができるグーグルドライブは15GBまでの利用は無料ですが、月額料金を払えばさらに容量を増やせます。その利用料金が、100GBが従来の月額4.99ドルから月額1.99ドル(200円程度)、1TBでもなんと月額49.99ドルからわずか9.99ドル(1000円程度)に値下げされました。

衝撃的な価格です。昨日は大阪のセミナーで、モバイルファーストの時代の流れが企業、とくに営業部門にどのような影響をもたらしてくるのかのお話をさせていただきましたが、さらにこの流れを加速させることにもつながってきそうです。

さらにグーグルドライブでは、マイクロソフト・オフィスのワード、エクセル、パワーポイントなどにあたる文書作成、表計算、プレゼンテーション資料、さらにフォームの作成が可能ですが、それらを補強するアドオンのアプリのマーケットプレイスをオープンさせたことをマーシャブルが伝えています。

アドオンの入手・利用方法についてはGIGAZINEが紹介していますが、グーグルドライブをブラウザから開いて、「作成」→「アプリ追加」をクリックしてもさまざまなアプリの入手が可能です。

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なにが起こってきているのでしょうか。グーグルドライブの強化は、PC側での保存の重要性を低下させます。さらにPC市場でのマイクロソフト帝国の参入障壁の強力な武器ともなっているマイクロソフト・オフィスの牙城をも揺るがし始めます。それは、PCの時代からモバイルファーストの時代への流れを加速させます。

マイクロソフトのバルマーCEOが、オックスフォード大学の講演のなかで「MSは過去10年チャンス逃してきた、可能ならやり直したい」、「過去10年をやり直せるなら、マイクロソフトは携帯電話市場でもっと強力な地位にあっただろう」と語ったことをウォール・ストリートジャーナルが伝えています。しかし、それだけでは済まない、自らの足元を揺るがす脅威が育ってくることを許してしまったことになります。

もちろん、マイクロソフトも手を拱いているわけではないにしても、モバイルファーストに向かう時代トレンドのなかでは、かつての市場支配力を発揮することはできません。

マイクロソフト対グーグルの静かな戦争が密かに進んできているという印象を受けますが、それを考えるとアップルが独自のニッチなポジションをとっていることは正解なのかもしれません。

(2014年3月14日「大西 宏のマーケティング・エッセンス」より転載)