「ウイルスとの戦いをゼロから始めないで」中国の医師たちが治療経験をシェアするプラットフォームが誕生

AI翻訳で11言語に対応しているほか、遠隔相談も依頼できるという。

世界的な流行を見せる新型コロナウイルス感染症に対し、実際に治療にあたった中国の医師たちが、海外の医療関係者に知識や体験をシェアするプラットフォームが誕生した。

現地の病院が作成した対策ハンドブックがダウンロードできるほか、AIによる翻訳機能を通じて中国の医師たちとチャットで会話できる。

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プラットフォームのトップ画面
GMCC公式サイトより

■ジャック・マー氏の基金などが考案

このプラットフォーム「GMCC(Global MediXchange for Combating COVID-19)」は、アリババグループ創設者のジャック・マー氏の基金などが考案し、グループ傘下のアリババクラウドなどが作成・運営している。

GMCCでは、中国の新型コロナウイルス感染症対策指定病院で、浙江省にある浙江大学医学院付属第一病院の医師たちが作成したハンドブックがダウンロードできる。

中身は医療関係者向けで、この病院が担当した患者の実際の症状や胸部CT画像、それに診療体制などの詳細がおよそ60ページにわたって記載されている。英語はもちろん、日本語やフランス語版などがすでに用意されていて、今後はドイツ語や韓国語も追加される予定。

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ハンドブック(日本語版)の表紙
GMCC公式サイトより

病院がアリババグループを通じて発表した内容によると、この病院では104人の確定患者が入院。そのうち78人が重症だったが、死者はゼロだったという。

GMCCは、このガイドブックについて「中国トップの専門家たちによる、新型コロナウイルス対策の総合マニュアルであり、ベストプラクティスです。ウイルスとの戦いをゼロから始めないでください」などと紹介している。

■AI翻訳で11言語に対応

また、世界中の医療関係者が、実際に治療にあたった中国の医師たちと一対一でチャットできる機能も搭載された。

ガイドブックを作成した浙江大学医学院付属第一病院のほか、武漢大学中南医院など5つの医療施設が参加している。

このチャットはAIによる翻訳機能が搭載されていて、英語、日本語、スペイン語など11の言語に対応しているというが、実際の翻訳精度については不明だ。

また中国の病院とビデオ会議をつなぎ、遠隔で症状について相談することもできる。

そのほか、中国の病院が治療経験を紹介するオンラインイベントもここから視聴可能だという。

GMCCではさらに、世界の研究機関などを対象にAIやクラウド技術などを提供し、新薬研究や診断効率の向上に貢献したいとしている。

アリババグループ創設者、ジャック・マー氏はTwitterで「知識は力です。ウイルスと戦うためのアイデアと教訓、それにノウハウを交換できるプラットフォームを開設しました」と報告した。

アリババグループは、ガイドブックに記載されている内容について以下のように呼びかけている。

あくまで浙江大学医学院付属第一病院がその治療経験に基づいて、同院の責任の下で作成した参考資料です。各国における対応方針や医療関連規制、医療関連法、薬機法等にご留意いただき、各自のご判断と責任の下でご活用ください。ご利用された結果発生した損害について、アリババ公益基金会、ジャック・マー公益基金会、浙江大学医学院付属第一病院は一切の責任を負いませんので、予めご了承ください。