地球温暖化に速やかに対応しないと、世界の貧困層は2030年までに1億人増加する可能性があるとの報告書を世界銀行がまとめ、日本時間9日公表した。報告書は、温暖化による熱波や洪水、干ばつや、気候変動に伴う病気が世界の低所得者層の生活を直撃し、貧困層に転落させる可能性がある、と予測。キム総裁は報告書で、温室効果ガスを減らすために強力な対策をとらない限り貧困の問題も解決できない、と強調している。
世界銀行は1日2ドルより少ないお金で暮らす人を貧困層とし、現在世界の7億人以上がこの層に入るとみている。同銀行の分析チームは、今回52カ国の人口、人口構成、世帯収入などの膨大なデータと将来の温暖化予測を基に貧困層の拡大程度を分析した。
その結果「温暖化の影響で農作物の収穫は30年までに5%減、80年までに30%
減」「アフリカの食品価格は30年までに12%、80年までに70%それぞれ上昇」などの予測データが得られ、世界の貧困層は30年までに1億人増える可能性があるとの予測になった、という。
報告書は、温暖化の影響は、洪水や病気などにより、アフリカと南アジアの国々の人々を最も脅威にさらす、としている。
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世界銀行プレスリリース「Immediate Push on Climate-Smart Development Can Keep More than 100 Million People Out of Poverty」
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