1927(昭和2)年12月30日、地下鉄銀座線は産声をあげました。90年まえのきょう、日本初の「地下鉄」が開業したのです。区間は、上野〜浅草間。運営会社は、東京メトロの前身、東京地下鉄道でした。
1928年2月11日付東京朝日新聞朝刊は、開業後の様子をこんな風に伝えています。
「上野、浅草間をほんの一飛び」「地の下は毎日大変な賑ひ」「世界地下鉄の粋を集め 絶対に堅牢」
当時の興奮が伝わってきます。この開業当時の空気を伝える特別列車が12月17日、銀座線を走りました。
まずは動画を、タイムスリップした気分でごらんください。
特別列車が出発するのは、JR上野駅に近い、東京メトロの車庫兼車両検査施設「上野検車区」。東京メトロ唯一の踏切で有名です。
乗車できたのは4090人の応募から抽選で選ばれた90人(実際に乗車したのは85人)でした。上野 浅草 渋谷 上野と、銀座線をほぼ1往復しました。
「1000系特別仕様車」は、開業当時の車両「1000形」のイメージを再現しています。黄色い外装もそうですが、しんちゅうの手すり、しずく形のつり革、緑色の座席、木目調の壁などが特徴です。
つり革
手すり(めっきですが)
この車両、2017年1月にデビューし、普段は渋谷〜浅草間を営業運転しています。当時の乗客をイメージした添乗員も特別に乗っています。
この日はもう一つ、当時を再現した仕掛けが初めて披露されました。その仕掛けが、この「予備灯」です。
1993年まで走っていた旧型の車両は、走行中に突然、車内灯が断続的に消え、「予備灯」が作動していました。
銀座線はトンネル断面を小さくするため、JRなどのような車両の頭上にある架線ではなく、線路脇にある「第三軌条」(サードレール)から集電しており、ポイントなど第三軌条が切れる区間ではそのまま車内の電気が消える、という構造だったのです。今は他の車両から電気を回す仕組みにしたため車内灯は消えません。
この「特別仕様車」は、その車内灯が消えた全14カ所がプログラムされており、運転席からのボタン操作で再現できるようになっています。乗客からは電気が消えるたびに「わー」という歓声が上がりました。
普段は入れない、渋谷駅の引き込み線に入ります。レアすぎる光景。
旧万世橋駅(末広町〜神田間)や旧神宮前駅(現・表参道駅)では、ライトアップされた「幻のホーム」が披露されました。ちゃんと徐行して、ゆっくり走ってくれました。
これは、開業当時の木製の回転式改札を再現したレプリカ。
銀座線はリニューアル工事の真っ最中。12月14日に工事が終わったばかりの上野駅では、当時の制服を再現した駅員がチラシを配っていました。
写真でもっと見たい方は、スライドショーをどうぞ。
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