与党側が安全保障関連法を強行採決した2015年9月の参院特別委員会で、議事録の未定稿では「速記が中断」と書かれていたのに、1カ月後の正式な議事録では「速記を開始」と過去に例のない対応したことを、野党側が問題視している。5月17日の参院予算委員会で、民進党の福山哲郎氏が「事実をねじ曲げる。歴史に背くことになる」と安倍首相を追及した。テレ朝newsなどが報じた。
■「速記中止」だったはずが…
安保関連法は参院平和安全法制特別委員会で審議され、2015年9月17日に与党などが野党の反発を押し切って採決した。成立直後に参院事務局が作成した未定稿の議事録では、混乱する会議場を「速記中止」「発言する者多く、議場騒然、聴取不能」と記した。しかし同年10月11日の公式の議事録では「速記を開始」「質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した」などの文言が加わっていたという。この間に同委員会は開かれていなかった。
福山氏は「速記が中断し議場騒然になったのに、『速記を開始』という文言を入れたり、補足をした例が、過去に参議院の議事録にあるか」と質問。これに対し、中村剛・参院事務総長は「会議録末尾の補足掲載中に、速記を開始した旨の記録があるものは、昨年の通常国会9月17日の平和安全特別委員会の例、1件だけ」として、過去に例がない対応だったことを明らかにした。
■安倍首相「国会のことは国会に任せる」
「これはまさに事実をねじ曲げる。歴史に背くことになる」として福山氏は、安倍首相に「議事録をもう一度精査し直せと、そういう指示を出していただけませんか」と要請。しかし、安倍首相は「国会のことは国会に任せる。そういう方針でやってきている」と述べるに留まった。
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