性同一性障害で、戸籍上は男性のまま女性として勤務する40代の経済産業省職員が11月13日、「戸籍を変更しなければ、女性用トイレの通常使用などは認めない」とした同省の対応は不当だとして、国に処遇改善と約1600万円の損害賠償を求める訴えを、東京地裁に起こした。弁護団によると、(LGBTなどの)性的マイノリティが職場での処遇改善を求めた訴訟は、全国でも初めてだという。
時事ドットコムによると、職員は男性として入省後、1998年ごろ同診断を受け、女性ホルモンの投与を開始。2009年に女性としての処遇を申し出で、2010年から女性としての勤務が認められた。
診断から実際に女性として勤務するまでに10年以上かかったのは、女性の容姿に近づけるための手術を重ね、「女性として社会適応できる」と思えるまで待ったからだと朝日新聞デジタルは伝えている。女性は2011年に、女性的な名前に変更。職場の女子会にも呼ばれるようになった。
しかし、経産省は女性に、女性の姿で勤務することや、女性用の休憩室の利用を認めたが、トイレは障害者用か、職場から2階以上離れた女性用を使うよう指示。さらに、上司らは2011年、「性別適合手術を受けて戸籍上の性を変えなければ異動できない。仮に変更せずに異動する場合、新しい職場の同僚に戸籍上は男性だと説明しない限り女性トイレの使用を認めない」と表明した。
女性は13日に開いた会見で、「上司から『男に戻ってはどうか』などと人格を傷つける発言を受け、うつ病で一時休職しました。裁判によって同じ障害の人が住みよい社会になってほしい」と語った。
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【訂正】2015年11月14日 13:12
当初の記事で見出しを「総務省職員」としていましたが、正しくは「経産省職員」でした。
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