乳がんを夫婦で経験したふたりが、いま伝えたいこと「女性も男性も......」

同じ病気にかかりながら前向きさを失わず、病気を目標に変えた夫婦がいる。

同じ病気にかかりながら前向きさを失わず、自分たちの病気の経験を、将来にわたってみんなの健康のために役立つようという目標に変えた夫婦がいる。

ABCニュースによると、ジェラード・キャンピオンさんとメグ・キャンピオンさん夫婦は、ともに乳がんにかかった過去を持ち、現在は、特に男性の乳がんについて広く知ってほしいと啓発活動を行っている。

アメリカ・コネチカット州に住むこの夫婦が初めて乳がんを患ったのは、2006年。夫のジェラードさんが自分の胸の小さなしこりに気づいた時だった。

メグさんは、「もちろんショックでした。真っ先に頭に浮かんだのは、乳がんは女性の私がなる可能性があっても、夫がかかる病気であるはずはない、ということでした」と話した。

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それから3年後、ジェラードさんは手術と抗がん剤による治療を無事に終えた。しかし今度はメグさんに乳管がんが見つかった。アメリカがん学会によると、これは前がん状態であり、メグは手術と放射線治療により治療できたという。

しかし、ABCニュースによると、その後の2011年に、一度は完全に切除できたと思われたジェラードさんのがんが再発し、骨に転移し、治療が困難なほどになってしまった。

この状況に、メグさんとジェラードさんは気を落とすどころか、ふたりは寄り添い合い、以来、乳がんは女性と男性のどちらも病気にかかる可能性があることを知ってもらおうと、啓発活動を行っている。

アメリカがん協会(ACS)の基準では、男性が乳がんを発症するケースは女性の約100分の1の確率にとどまるが、2015年には2350人の男性が新たに乳がんを発症すると予測されている。そして乳がんの中でも、転移の可能性がある浸潤性乳がんによって、約440人の男性が死に至ると予測されている。

それでもジェラードさんは、気を落とすことなく活動を続けている。「治らないわけではありません。それに、がんの進行を抑えることもできます」とジェラードさんはニュー・ヘイブン・レジスターに語った。

ジェラルドさんは2013年、誕生日のお祝いに、ゴルフで62ホールを回った。これは、エール大学がんセンターと、同大学医学部スミロウがん病院との共同がん研究プロジェクトである「クローサー・トゥ・フリー」への募金を呼びかけるためのものだ。また、社会奉仕団体「ロータリークラブ」と「ライオンズクラブ」で男性の乳がんについてスピーチも行っているという。

「(アメリカ人)男性の8%は、自分も乳がんにかかる可能性があることを自覚していません」とメグさんはABCニュースに話した。「乳がんによって父親や夫を亡くす家族をひとりでも減らしたいという想いで、私たちは活動を続けています」

2015年9月には、コネチカット州のダンネル・P・マロイ州知事が10月第3週を州の「男性の乳がん啓発週間」と定め、メグとジェラードの乳がん啓発活動を表彰した。今後もふたりは慈善団体や医療組織とともに、乳がんについて周囲の理解を深めるために、活動を続けていくという。

「がんというのは嫌なものです。でもおかしな風に聞こえるかもしれませんが、再発したという知らせは、これまでの人生の中で最も素晴らしいことだったと思っています」とジェラードは、がんのニュースサイト「Cancer.org」に話してくれた。「これまでよりも思いやりのある人間になることができ、生きている喜びを感じ、他の人のために行動できるようになりました。人生は素晴らしいですね」

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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