黒人男性のジョージ・フロイドさんが、警察官に膝で首を押さえつけられ死亡した事件に対する抗議活動が、事件が起きたミネアポリスからアメリカ中に広がっている。
一部が暴徒化して警察との衝突や逮捕が起きている一方で、各地で警察官たちが抗議活動に参加し、「Black Lives Matter(黒人の命を守れ!)」という訴えに団結を示している。
ミシガン州フリント
ミシガン州の地元テレビ局WEYIによると、同州のフリントで5月30日に行われた抗議活動に、警察官が合流した。
団結の意思を示したのはジェネシー郡のクリス・スワンソン保安官らだ。
スワンソン保安官は、ヘルメットや警棒を外して抗議活動に近づき、「私たちがここにきた理由は、みなさんの声が届くようにするため。ただそれだけです」と呼びかけた。
そして「ここにいる警察官たちは、みなさんを大切に思っている。あそこにいる警察官たちは、みんなとハグをしている。私たちに何をして欲しいか教えてくれ」と尋ね、「私たちと一緒に歩こう!」と繰り返し叫ぶ参加者たちの声に答えて歩き始めた。
Twitterの動画には、スワンソン保安官がハイタッチをしながら参加者たちと歩き出す様子がうつっている。
ミズーリ州ファーガソン
同じく30日、ミズーリ州ファーガソンではジェイソン・アームストロング警察署長が、フロイドさんへの敬意を表するために抗議活動参加者とともに片膝をついた。
地元メディアのセントルイス・ポスト・ディスパッチは、アームストロング署長と警察官たちが、警察署の外で抗議する約500人に加わったと伝える。
さらに地元テレビ局のKMOVのアシュリ・リンカーン記者によると、アームストロング署長は抗議活動にも参加。
そして抗議活動参加者たちがフロイドさんに敬意を表して片膝をつくと、警察官も続いた。
「ファーガソンで、平和的な抗議活動が行われています。団結を示すために、ファーガソン警察署長も参加者に並んで歩いています」
「抗議活動のリーダーがジョージ・フロイドさんに敬意を表して9分半片膝をつくように求めると、全ての肌の色のファーガソン警察の警察官が参加者と一緒に片膝をつきました」
ファーガソンでは2014年8月に、18歳だった黒人のマイケル・ブラウンさんが白人の警察に撃たれて亡くなった。
事件の後、数週間に及ぶで大規模な抗議が行われたが、ブラウンさんを撃った警察官は自衛だったと主張し逮捕されなかった。
アームストロング署長は「ファーガソンの事件は、警察権力に対する警鐘だった」と語っている。
「あの事件は私に、警察が一体何をしているのかを考えさせるきっかけになりました。そして私の目を開かせ、リーダーとなって変化をもたらし、(市民と)より良い関係を築くよう促したのです」
ニューヨーク市クイーンズ
ニューヨークのクイーンズでも、31日にニューヨーク市警の警察官たちが抗議活動参加者たちと一緒に片膝をついたとニューヨークポストは伝える。
Facebookに投稿された動画には、少なくとも3人の警察官が路上に片膝をついている様子がうつる。
抗議活動参加者たちは、アマッド・アーバリーさんやエリック・ガーナーさんなど、これまでに犠牲になった人たちの名前を叫んだ後に黙祷。警察官たちも片膝をついたまま黙祷に加わった。
オレゴン州ポートランド
オレゴン州のポートランドでも31日午後、抗議活動参加者に警察が団結の意思を示した。
地元メディア「オレゴニアン」によると、人権センターの前で、ポートランド警察が参加者と向き合ってと片膝をついた。そして参加者たちと握手を交わした。
フロイドさんが死亡した事件では、フロイドさんを膝で押さえつけたデレク・ショーヴィン元警官を第3級殺人罪などで起訴され、その他3人の警察が解雇された。
フロイドさんの家族は、そのほかの3人の警察官についても殺人罪での起訴を求めている。