冬になって、寒さが厳しくなることを「冬将軍が到来した!」と言いますよね。なんで厳しい寒さを「冬将軍」と呼ぶのでしょう。その由来を調べてみました。
■命名のきっかけはナポレオンのロシア遠征
NHK放送文化研究所や首都大学東京図書館によると、その由来は19世紀のフランス皇帝ナポレオンのロシア遠征にさかのぼります。
ナポレオン・ボナパルトは1812年、イギリスとの通商を禁じる大陸封鎖令をロシアが違反しているとして、60万人以上の大軍でロシアに侵入しました。モスクワを一時占領したが大火にあい、10月に退却しまいた。
退却時は厳しい寒さの上、ロシア軍と農民ゲリラの追撃にあって惨敗。ブリタニカ国際大百科事典によると、ロシア国境まで戻ることができたのは11万2000人に過ぎなかったそうです。
■ロンドンで出版された風刺漫画で初登場
「冬将軍」が初めて登場したのは、同年12月1日、イギリスの首都ロンドンで出版されたウィリアム・エルメス氏の風刺漫画でした。ワシントン大学図書館の公式サイトで、この漫画を見ることができます。
「GENERAL FROST Shaving Little Boney」(小さいボニーちゃんのヒゲを剃る冬将軍)の表題で、頭に氷山をかぶった怪物がナポレオンをつかまえる様子を描いていました。ナポレオンが、ロシアの厳しい冬に敗れた様子を皮肉ったのです。
これが日本に伝わり「冬将軍」という表現が広まったのでした。気象予報士の河津真人さんは、この画像とともに、デビュー当初の冬将軍を「予想以上にヤバい奴でした」とTwitterで紹介しています。