陸上男子短距離のタイソン・ゲイ(30)=アメリカ=が14日、ドーピング検査で陽性反応を示し、モスクワで行われる世界選手権に出場できなくなったことを明らかにした。ゲイ以外にも、アサファ・パウエルらジャマイカの陸上5選手がドーピング検査で陽性反応を示した。共同通信が伝えた。8月10日にモスクワで行われる世界選手権を前に、激震が走っている。
時事通信によると、ゲイは禁止薬物の故意による摂取は否定し、「わたしは基本的に誰かを信頼しているが、それは裏切られた」と述べた。
ゲイによると、5月の競技外検査の結果が12日に判明し、Aサンプルが陽性反応を示した。禁止薬物の種類は確認できていないという。Bサンプルの検査結果は出ていない。
NHKによると、タイソン・ゲイは男子100メートルでオリンピックではメダルを獲得していないが、2007年に大阪で開かれた世界選手権では、100メートルと200メートル、400メートルリレーで3冠を達成した。100メートルの自己ベストタイムは2009年にマークした9秒69で、6月の全米選手権では今シーズン世界最高の9秒75を出し、来月モスクワで開かれる世界選手権で9秒58の世界記録を持つジャマイカのウサイン・ボルト選手との対決が注目されていた。
アサファ・パウエルはジャマイカ出身の30歳。男子100メートルの前の世界記録保持者。もともとサッカー選手だったが、大学で陸上を始め、2005年6月には9秒77のタイムをマークし、3年ぶりに世界記録を更新した。さらに2007年9月に9秒74のタイムで再び世界新記録をマークしたが、翌年の5月、同じジャマイカのウサイン・ボルトに記録を塗り替えられた。北京オリンピックでは100メートルリレーでボルトらとと共に金メダルを獲得した。
30歳のパウエルは声明を発表し、6月に行われたジャマイカ選手権の検査で禁止薬物の興奮剤のオキシロフリンに陽性反応を示したことを明らかにした。その上で「ルールを破るような物質を故意に摂取していない。不正の意図はなかった」と弁明した。
また、日刊スポーツによると、女子短距離で2008年北京五輪の女子100メートル銀メダルなど、オリンピックでメダル3個を獲得しているシローン・シンプソンもオキシロフリンに陽性反応を示した。関係者によると、5人のうち2人が短距離選手で3人がフィールド競技の選手。ジュニア選手が1人含まれているという。
■トルコでも大量陽性反応 陸上界を揺るがすドーピング禍の波
ドーピング禍の波はこれだけにとどまらない。ロイターによると、国際陸上競技連盟(IAAF)がトルコの大会で先月行った大規模なドーピング検査の結果、最大で30人もの選手が違反と認定された。トルコではすでに、2012年ロンドンオリンピックの女子1500メートル金メダリストが出場停止となっている。また、100メートル障害の欧州覇者のほか、6月の欧州選手権で8人の選手がドーピング検査で陽性反応を示している。
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