ラグビー元ウェールズ代表選手のギャレス・トーマス氏が9月15日、自身のTwitterでHIV感染者であることを公表した。CNNなどによると、イギリス人のアスリートのHIV感染者公表は初めてとされている。
スター選手であったトーマス氏は、2009年にゲイであることを公表。その2年後にラグビー界を引退しており、近年はリアリティー番組などに出演していた。
「ハロー。私はギャレス・トーマスです。皆さんに、秘密を話したいと思います」
Twitterに投稿された動画によると、今回の公表の裏には「情報を公表する」と他者からの脅迫があったという。
「これは私が話すことです。私より先に『公表する』と脅迫してくる、私の人生を地獄のように変えた悪人の話すことではありません」
そして、今回の公表を通じ、HIVへの偏見を壊すために闘う意志を語った。
「この情報をみなさんが知った今、私はとても弱い立場にいますが、だからといって、私は弱いわけではありません」
「強制的に公表することになりましたが、私はHIVの知識を広め、偏見を壊すため、闘うことを選びました」
この発表に対し、スポーツ界を超えて多くの支援の声が集まっている。イギリスのヘンリー王子は公式Instagramで、トーマス氏の写真と共に「ギャレス、あなたは偉大なレジェンドです。HIV陽性を公表し、それでも強く強靭に生きることができると体現することで、偏見を壊し、人々の命を救っています」と投稿した。
トーマス氏はSunday Mirror紙のインタビューで、「何年もこの秘密と共に生きてきた」と話し、最初に医師に診断を受けた時は「その場で崩れ落ち、死ぬんだ、と思った」と話した。恥を感じ、自殺も考えたという。現在は治療のため薬を飲用しており、現在の彼のHIVは「不探知」のレベルとされており、他人に感染させることはないという。
「HIVは恐いテーマと考えられています。多くの恐怖と無知に包まれている。でも、その恐怖の多くは80年代の広告から受けたものです。2019年の今、怖がることは何もありません」
そして「私はHIVに感染していなかったラグビー選手だった頃より、今の方が健康的です。私は『大丈夫』ではなく、それ以上です」と同紙に語った。
その言葉通り、公表の後に開催された、スイム3.8キロ、バイク180キロ、ラン42.195キロからなるアイアンマンレースを見事に完走した。
この大会は、HIVへの偏見との闘いの一環としての挑戦だったが、完走したトーマス氏は観衆からの大歓声と拍手で迎え入れられ、その後パートナーと抱き合った。
トーマス氏のTwitterでの公表内容の全訳は以下のとおり。
ハロー。私はギャレス・トーマスです。皆さんに、秘密を話したいと思います。
なぜか?
それは、これは私が話すべきことだからです。私より先に「公表する」と脅迫してくる、私の人生を地獄のように変える悪人によって伝えられるべきではありません。
そして、あなたを信じ、信用しているからです。
私は、HIVに感染しています。
この情報を皆さんが知った今、私はとても弱い立場にいますが、だからといって、私は弱いわけではありません。
今回、強制的に公表することになりましたが、私はHIVの知識を広め、偏見を壊すため、闘うことを選びました
そして、それは今日から始まります。テンビーで行われる世界一タフなアイアンマンレースに参加し、自分を肉体的リミットに挑戦します。人からの反応や意見に怯えて生きている人々に、だからといって隠れる必要はない、ということを私が証明することを、皆さんに手助けしてほしい。
でもそれをするには、あなたのサポートがとても必要なのです。