GAP社は現在、ホリデーシーズンに向けた新しいキャンペーン「#MakeLove」(愛しあおう)を展開している。多種多様なモデルを起用したキャンペーンだが、そのなかに、インド系米国人の宝石デザイナーであり、俳優としても有名なワリス・アルワリア氏が含まれている。シーク教徒のターバンをまとった同氏が、女性とともに撮影された写真だ。
この写真が最近、ネット上で騒動をひきおこした。まずは、『The Islamic Monthly』誌の主任編集者を務め、「TheMuslimGuy.com」の創設者でもあるアルサラン・イフティカル氏が、地下鉄に掲示されていたこの広告が落書きされている写真を、自分の「Twitter」と「Facebook」のウォールに投稿した。ポスターの「Make Love」という言葉は「Make Bombs」(爆弾を作ろう)に書き換えられ、さらに「Please stop driving TAXIS」(頼むからタクシーを運転するのはやめてくれ)となぐり書きされていた。
その翌日にGAP社は、イフティカル氏のTwitterに返信し、問題の広告がどこにあるか尋ねた。
GAP社はさらに、同社のTwitterアカウントの背景をアルワリア氏の写真に変更して、連帯感と支持を表明した。
イフティカル氏が同社の素晴らしい迅速な対応を伝えたことから、同社の措置はシーク教徒からもイスラム教徒からも称賛された。
一部のシーク教徒たちは、シーク教徒のモデルを起用したことに対する感謝を示すために「Thank you, GAP」キャンペーンを始めた。GAP社に寄せられたある手紙には、「看板やダイレクトメール広告、デジタルメディアの目立つ場所にシク教徒のモデルを配置することによって、われわれの限られたリソースでは達成できなかった方法でシーク教徒の知名度を上げてくれた」とある。
アルワリア氏のFacebookページに投稿された次の可愛らしい写真を見ればわかるように、同氏は確かに、シーク教徒であるかどうかにかかわらず、あらゆる年齢層の人々の心を動かしている。メディアがもつロールモデルとしての力は、過小評価できないのだ。
アルワリア氏は、自らのデザインショップ「ハウス・オブ・ワリス」を展開しており、これまでにいくつものベストドレッサー賞に輝き、アートやファッションの世界の常連となっている。
イフティカル氏は、英紙『デイリー・メール』に次のように述べている。「今回の一連の出来事は、我々がまだ『人種差別を超えた米国』に住んでいるわけではないことを示した。南アジア系や、イスラム教徒と思われる人々は、人種差別的な言葉を向けられることなくファッション広告を飾ることさえできないのだ」
※シーク教は、16世紀にグル・ナーナクがインドで始めた宗教で、信徒数は約2300万人。インドでは少数派だが、富裕層が多い。カールサー派のシーク教徒の男性は、髪の毛と髭を切らず、頭にターバンを着用する習慣がある。以下のギャラリーでは、ニューヨークで行われたイベント「ターバン・デー」を紹介している。シーク教徒について知ってもらうため、700人の観光客らにターバンを巻いたという。なお、ターバンの長さは1枚で約5メートルある。
[Yasmine Hafiz(English) 日本語版:平井眞弓/ガリレオ]
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