鹿児島県のトカラ列島の無人島「臥蛇島(がじゃじま)」に自衛隊を誘致する意向を地元村長が明らかにした。
島を管轄する十島(としま)村の肥後正司村長が9月12日の村議会一般質問で、臥蛇島を念頭に「無人島の活用策として自衛隊の誘致を考えている」と話した。村の議会事務局が24日、ハフポスト日本版の取材に明らかにした。
■臥蛇島とは?
斎藤潤さんの「吐噶喇列島~絶海の島々の豊かな暮らし~」 (光文社新書) などによると、臥蛇島は標高497mの御岳を最高峰とする古い火山島。周囲は約9キロほどと小さく、鹿児島市から200キロ程度の位置にある。横から見ると、蛇が臥せた形に見えることが島名の由来だという。
かつてはカツオ漁で栄え、戦前の1940年には133人の人口がいたが、敗戦後には人口が激減。若者減少によって過疎化が進み、1970年7月28日に最後の4世帯16人が離島して無人化したという。
その一番大きな理由は、人口が減りすぎて、船からの荷物の積み下ろし作業が不可能になったためだった。臥蛇島の周囲は数十~100メートル以上もある断崖に囲まれていて集落はその上にあった。そのため、大規模な港湾の整備は難しく、人力の「はしけ」作業に頼るしかなかった。
高度経済成長による若者の都会への流出や過疎化などの象徴的な出来事として全国的な注目を集めた。その後は50年近く無人島のままとなっている。
産経ニュースは、今回の村長発言を伝える記事中で、臥蛇島が「防衛省が離島奪還作戦を行える初の訓練場を整備する候補地に浮上している」と報じている。