原発作業員に熱中症相次ぐ 福島第一への支援活動も始まる

福島第一原発で熱中症にかかる原発作業員が相次いでいる。全国から応援物資を送る活動も始り、受け取った作業員は「まだ応援してくれる人がいた」と感謝を示す人が多いという。
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EPA時事

5月から厳しい暑さが続いた福島第一原子力発電所で、早くも熱中症になる作業員が相次いでいる。2013年度は6月は熱中症患者は一人も出なかったのに対し、2014年度は6月27日の時点で、疑いのある人も含めて既に5人発生。東電は、7月から午後2〜5時の時間帯は屋外での作業を原則的に禁止にするなど、熱中症対策を強化している。

しかし、2013年度も7月9日に熱中症を訴える作業員が出たのを皮切りに、10月までに18人にまで増加した。これからの暑い季節、作業環境はさらに過酷になることが予想される。

屋外での肉体労働が殆どを占める福島第一原発は、指定エリア以外では全面マスクに完全防護服が基本だ。しかし、気密性が高く作業服の上に着なければならない防護服は、暑さを倍増させ体力を奪う。粉塵が上がるような作業用冷風機も、汚染度が上がるため設置できない。東電はクールベストの貸出のほか、使い捨ての下着を作業員に支給しているが、作業中は下着がびしょ濡れになる。

■応援物資で支援活動

そんな作業中の不快感を少しでも和らげようと、原発作業員を支援している団体「アプリシエイト・フクシマ・ワーカーズ(AFW)」は、作業員に夏用の肌着を届ける活動を始めた。ホームページ等で寄付を募り、冷感作用があって汗を発散しやすい肌着を、原発作業員の拠点となっているJヴィレッジに夏場を通じて随時届けるという。6月23日には既に第1段として、500着を届けた。

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同団体は昨冬も、保湿性がある肌着5300着と使い捨てカイロ9万個を届けた。作業員から「これを貰っても何も変わらない」という意見が出たり、インターネットで「東電がやるべきことを肩代わりしているだけ」という批判が出たりしたこともあったが、素直に感謝してもらえることが多かったという。

■原発作業員「世間から、忘れられたと思ってた」

AFWの代表を務める吉川さんは、東電が労働環境を改善することは当然だとしながらも、「それに加えて社会全体で作業員を支える雰囲気を作らないと、今後数十年続く廃炉作業は続かない」と指摘する。

「汚染水漏れや作業の遅れなど、福島第一原発に関するニュースが出て様々な声が出るたびに、作業員たちは自信を失いかけそうになると言います。

全国の皆さんから集まった寄付でカイロや下着を届けているんだと伝えると、『自分たちはもう、世間からは忘れられたと思っていたけれど、こうやってまだ応援してくれる人が日本全国にいるんだと、とても勇気づけられる』と言われます」

吉川さんは、そんな福島第一原発の現場の状況を発信し、またそれに対する全国の支援者の思いを肌着に変えて届けることで、福島原発で働く人と応援する人を繋げたいとしている。

「福島第一原発のニュースの裏で、本当にたくさんの人が作業しています。この人たちが、今の福島第一原発で新たな事故が起きないようにと、この夏も作業されていることは、決して遠くで起こっている問題ではないんです」

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届けた支援物資の箱には、「全国からの募金によるもの」などの掲示が行われている

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