10月26日に投開票が行われる福島県知事選挙は、9日に告示される。県内の各地や県外へ避難を続ける原発事故被災者には、期日前投票や不在者投票など、地元に戻らなくても投票ができるような制度が用意されているが、近くに期日前投票所が無かったり、事前に投票用紙を請求する必要があるなど、手続きが煩雑で、避難者には選挙への参加が負担になっている。政府が指定する避難指示区域で、今回の福島県知事選に参加する方法について考えてみよう。
■福島の避難指示区域
原発被災地のなかでも、政府が住民に避難を指示する「避難指示区域」は、10月1日時点では、次の図のように福島県の双葉郡に集中している。
福島の避難指示区域と各区域の人口及び世帯数
避難指定区域だけでも人口は約8万人に上る。ふくしま連携復興センターによると、福島県全域から県外への避難者は4万7149人、県内各地への避難者は7万9939人と見られており、避難指定区域の人全員が避難しているとすると、福島県の避難者の約63%にあたる。
■日本中に散らばる避難者
避難指定区域からの避難者は、北海道から沖縄まで、日本各地に避難している。その分布を見ると、福島県を中心に東北や北関東への避難者が多いことが分かる。
日本各地に避難する避難指定区域の住民:各自治体データを元に、HuffPostJapan作成(GeoFuseを利用)
■福島県内への避難者
福島県内のなかでは、避難者は茨木県寄りの「いわき市」や県庁所在地の「福島市」、新幹線が停車する「郡山市」の3つの市に集中しているが、県内の各地に広がっている。
避難指定区域からの福島県内への避難者:各自治体データを元に、HuffPostJapan作成(GeoFuseを利用)
■避難者の投票方法
避難者の住民が福島県知事選で投票するには、主に、
- 投開票日に決められた投票所で投票する(投票所での投票)
- 仮設住宅などに設けられた期日前投票が場所で投票する(期日前投票所)
- 避難先の自治体で不在者投票する(不在者投票)
などがある(郵便を利用しての投票もあるが、身体障害者手帳を持っている人などに限られている)。
■県内外に設けられる投票所は時間の制約が大きい
今回の選挙では、避難指定区域の自治体は、仮設住宅などが設置されている県内外の各地に投票所を設置するが、主にいわき市や郡山市などに集中している。
しかし、例えば双葉町では埼玉県の加須市などにも投開票日に投票できる投票所を設けるが、開票は別の場所で行わなくてはいけないため、他の開票所に比べて3時間も早く投票が締め切られるなどの制限が設けられている。
■不在者投票は煩雑
避難先の市区町村の選挙事務所で投票することができる不在者投票は、日本全国どこでも対応している。
しかし、あらかじめ「不在者投票請求書・宣誓書」に必要事項を記入し、住民票のある市町村選挙管理委員会へ郵送(メールやFAXは不可)など、時間も手間もかかるものになっている。また、福島県外の自治体の場合は同じ選挙が開催されているわけではないので、対応時間が平日(土曜日・日曜日・祝日を除く)の午前8時〜午後5時だけに制限されている。
このように、避難者にとっては選挙参加への負担が大きい。また、選挙公報などは避難先まで郵送されるが、選挙の立候補者が避難先まで遊説に来るとは限らない。
しかし、インターネット選挙が解禁になって約1年。インターネットなどのツールも上手に利用して、有権者へ情報を配信する候補者が、今回の福島県知事選では見られるかもしれない。
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