避難指示区域の一部、解除見込み1年延期 国の除染遅れ
政府の原子力災害現地対策本部(本部長・赤羽一嘉内閣府副大臣)は、東京電力福島第一原発事故で住民が避難している福島県葛尾(かつらお)村と飯舘村の一部地域について、今年3月としていた避難指示解除の見込み時期を1年延期する方針を決めた。見込み時期は東電の賠償基準を決めるためのものでもある。延期は国の除染が進んでいないためで、他の自治体にも波及する可能性がある。
同本部が28日に発表する。延期対象は、避難指示解除準備区域の葛尾村407世帯1329人と、飯舘村208世帯791人。
見込み時期の延期は、国の当初の除染計画が甘かったことが最大の要因だ。実際の解除時期も遅れることになれば、避難住民の帰還意欲が衰える可能性がある。また、自治体の復興計画にも影響が出るほか、商業施設や病院などが再開に及び腰になり、生活関連サービスの復旧が進まないおそれも指摘される。解除後1年で打ち切られる避難住民への慰謝料の支払いも増え、最終的に国の支出増につながる可能性もある。
(朝日新聞社提供)
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