福井の中学2年の自殺は「担任に追い詰められた」その経緯は...

調査報告書が公表。「身震いするくらい怒鳴られていた」との証言も
|
Open Image Modal
※写真はイメージです
Kiyoshi Ota / Reuters

福井県池田町で3月、中学2年生の男子生徒が校舎から転落して死亡した。教育委員会が設置した第三者委員会は10月15日、担任らからの厳しい指導や叱責で追い詰められ自殺したと結論づけた。

心ない対応が、中学生の命を奪った悲劇。どうして起きてしまったのか、その経緯や事実関係をまとめた。

■担任から何度も怒鳴られた「僕だけ強く怒られる」

亡くなったのは、町立池田中学校の2年生(当時14歳)。3月14日午前8時半ごろ、校舎の裏側の庭で倒れているのが見つかり、死亡した。

調査報告書を基にした朝日新聞デジタルの報道によると、生徒が自殺するまでの経緯は次の通り。

【2016年】

10月 マラソン大会のあいさつの準備が遅れたことを理由に、担任の30代の男性教諭が校門前で大声で怒鳴る。目撃した生徒は「身震いするくらい怒鳴られていた」と証言。

11月 課題未提出で副担任が問いただす。生徒は土下座しようとする

【2017年】

1月か2月ごろ 生徒会の日に職員室の前で担任から「お前辞めてもいいよ」と大声で叱責(しっせき)される

2月上旬 忘れ物をした生徒を担任が強く叱責

21日 登校を拒否

3月6日 担任から課題未提出の指導。早退を求める

  7日 登校を拒否。「僕だけ強く怒られる、どうしたらいいのか分からない」

13日 過呼吸を訴える

14日 中学校で自殺

■家族と話し合った後も、指導方法変わらず

この事態を受けて、町の教育委員会は4月、弁護士や大学教授、医療関係者らを交えた第三者委員会を設置。NHKニュースなどによると、10月15日に公表した調査結果で、次のような点が指摘されている。

・大声で叱られるなどの厳しい指導を繰り返し受けていた

・学校に行くのを嫌がるようになったため家族が担任らと話し合うなどしたが、その後も指導方法は変わらなかった

・ほかの教員も適切な対応を取らなかった

・大きな精神的負担となるものだった

・土下座をしようとしたり過呼吸を訴えたりしたのが、追い詰められた気持ちを示している

こうした点を踏まえて、報告書は以下のように結論づけた。

・男子生徒が追い詰められて自殺した

・学校側の対応に問題があった

15日の記者会見では、委員長を務めた福井大学大学院の松木健一教授は「叱責を繰り返したことは指導の範囲を超えていた」と述べた

堀口修一校長は、保護者会への会見で「担任、副担任の彼への不適切な対応により、また指導監督が十分にできず、彼を苦しめ、傷付け追い詰めてしまった」と陳謝した