安倍政権が秋の臨時国会に提出する秘密保護法案に対して、女優の藤原紀香さんが懸念を表明したことを9月15日の記事で取り上げたところ、多くの反響が集まった。影響力のある芸能人という立場で、あえて政治的な問題提起したことに対して「その勇気に深く感謝します」と賞賛する声が出ている。
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安倍首相は少子化担当相の森雅子氏が「特定秘密保護法案」担当相を兼務することを決定。10月15日召集予定の臨時国会での成立を目指しているが、法曹界やメディアから言論統制への懸念が強いことから「知る権利」と「報道の自由」を明記する方向で、調整に入っている。
法案の正式名称は「特定秘密の保護に関する法律案」。9月17日までパブリックコメントを求めていた。日本の安全保障に著しく支障を与える恐れがあるため、特に隠しておくべき情報を「特定秘密」と指定し、情報を漏らした公務員や、不正な手段で公務員らから秘密を入手した人物を対象に、最高で10年の懲役刑を科すなどとしている。
この法案について、藤原紀香さんは自身のブログで13日、法案にあいまいな部分があるとして、以下のように警鐘を鳴らしていた。
もちろん、日本を陥れるべくスパイ行為を働いた輩には罰を与えるべきだと思うし、そのようなスパイ行為が起きないようなんらかの法案が必要となるとは思います。が、原発の問題や放射能の問題は、国民が知るべきことだと思うので、その国家機密にあたる範囲がどこまでなのか、曖昧なのが問題なのだと思います。
この発言を報道した記事に、「『あいまい』を国民は許してはいけない」という声から、「この法律は必要」と政府を擁護する声まで、さまざまな声が寄せられた。以下、抜粋して紹介する。
【秘密保護法案に懐疑的な声】
現在の法制度の範囲内で対応できるものだともうのです。それをあえて別の法を作り、公務員だけでなく《国民》まで広げ、阿部政権(原文ママ)は何を「知らせまい」「聞かせまい」「見せまい」とするのだろうか。藤原紀香さんは、日本でも有名であり、政治的発言をすれば「不利」(芸能界では)を承知で、いたたまれずのものと思います。その勇気に深く感謝します。
日本政府は原発問題も含め、長く国民からの信用を失っています。懐疑的にとられても致し方ないと思います。
秘密保護法案の「あいまい」を国民は許してはいけない。復興特別税の「あいまい」は使い道を誤らせた。私はその痛みをまだ忘れてはいない。
最も恐ろしいのは、秘密かどうかは「権力者側」が自由に決められる点。これはもう濫用されるのが決まったようなもの。それが歴史の事実ですね。日本では今、リヴァイアサンの蠢動が始まっている。国民がコントロールできない国家が恐ろしい怪物のように国民に火を吐き、食い殺す恐れがある。
この法案の良し悪しは議論のある処ですが、何も対策せず、現状のままというのはマズイです。現状では、何が秘密かという部分に曖昧な処があり、秘密じゃないと思って公表したら、後から秘密に指定された、なんて事が起こりかねません。
こうした声の一方で、海外に機密情報を流さないために「この法律は必要」とする意見も多く寄せられた。
【秘密保護法案に賛同する声】
国民の知る権利の侵害、戦前のように国家権威が国と国民を誤った方向へ扇動できるようになる等、やや極端な議論もあるようですが、もし政権が間違った方向へ走るようなことがあれば、我々国民が選挙でそれに対する答えを出せば良いのです。 今の安倍政権を選択したのも、結果としては、国民なのですから。
結論から言うと、この法律は必要なものです。この法律が無いため、日本の情報は海外にずっと漏れっぱなしでした。もちろん、政府に都合が悪いからと言って隠すのは言語道断で。秘密保全をするならば、保全対象(防衛機密、外交機密が対象の中心になるでしょうが)、保全期間、保全情報の開示対象、といったことの決めごとはきっちり守らせるようにすることが重要です。
情報を漏らした者に罰則を与えることの何が問題なのでしょうか。逆に大した罰則の無い現状では秘密にすべき情報が洩れ放題ということになります。漏洩情報の入手を公表するのはマスコミぐらいですしね。
秘密保護法があれば、限定された範囲での公開は可能になります。無制限に拡散することを心配せず、限定された範囲での公開が出来ます。複数の人又は組織で、その情報をどのように扱うかの検討も出来ます。そこで開示すべきとなれば開示されもするでしょう。もちろん秘密とすべきとなれば秘密にされ、開示はされません。
【※】このように藤原紀香さんに賛同して法案に懸念を表明する声と、国家機密が外国に漏れる可能性を減らすために法案に賛同する声に分かれています。改めて皆さんの意見を聞かせていただければと思います。
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