ヒト心臓の再生能は限定的であるが、最近の研究で、心外膜が傷害後の成体心筋の機能をある程度保護する可能性があり、それはおそらく筋発生性の前駆細胞を提供することによるものだと示唆されている。今回、分泌因子のFSTL1(follistatin-like 1)が再生因子であり、通常は健常な心外膜に存在するが心筋梗塞後に消失することが明らかにされ、これによって傷害が哺乳類心臓の再生能を減弱する機序が示唆された。工学的に作られた心外膜生体材料によってFSTL1を再構成すると、心筋梗塞動物モデルで心機能が改善し、これは臨床応用が可能な心筋細胞再生の証拠と考えられる。
Nature525, 7570
2015年9月24日
原著論文:
doi: 10.1038/nature15372
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