森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材に与えられるFSC®認証。1993年の設立以来、その制度は、森を守りながら木材の持続可能な利用を促進する具体的な手段として、世界各地で広がってきました。そうした中、今回日本で初めて、FSC®認証を取得した「塗装型枠用合板」といわれる建設用資材の販売が始まりました。
森を守るマーク「FSC®」
FSC®(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)は
1.森林環境を適切に保全し、
2.地域の社会的な利益にかない、
3.経済的にも継続可能な
森林管理を推進することを目的とした、木材を生産する世界の森林と、その森林から切り出された木材の流通や加工のプロセスを認証する国際機関です。
WWFはその設立の一翼を担い、さらに世界各地で推進している森林保全活動の具体的手法として、このFSCの認証制度を推奨しています。
FSC®の原則と基準に則って生産された認証製品には、FSC®ラベルが付けられ、店頭に並び、森林環境に配慮して生産された商品を求める消費者に届けられることになります。
そして、こうした商品を選ぶことによって、消費者は間接的に世界の森林保全を手助けすることになるのです。
日本で大量に利用される建築用構造材、型枠用合板「コンクリートパネル」
日本は、建築物を作る際にコンクリートを成型するための型枠として、「コンクリートパネル」と呼ばれる木製の板(合板)を大量に利用している、木材の一大消費国です。
このコンクリートパネルの多くは、マレーシアやインドネシアといった熱帯の森林で生産された木材が原材料。
しかし、これらの国々では、時に森林環境や、地域の社会への十分な配慮のない、不適切かつ破壊的な森林伐採が行なわれてきた歴史があります。
そのため、木材を大量に使う「コンクリートパネル」は長年、日本の木材消費と熱帯林破壊とのつながりを象徴するもののように見なされてきました。
つまり、こうした木材の需要をまかなうためには、特に日本の企業や消費者は、適切に管理され、生産された木材を利用した製品を選択し、利用する責任があるのです。
日本初のFSC®認証コンクリートパネルの登場と期待される流通の拡大
そうした中で今回、トーヨーマテリア株式会社が、日本で初めて、FSC®認証を受けたコンクリートパネルの販売を開始しました。
これらのコンクリートパネルには、インドネシアのFSC®認証を取得した森林で生産された木材を、インドネシアのFSC® CoC認証を受けた工場で加工して生産された合板が使用されています。
合板各枚の裏面には、FSC®認証のスタンプも押してあり、実際に目視でFSC®認証製品であることを確認することが出来ます。
コンクリートパネルをはじめとして、大量の木材を利用する消費国である日本。
今回のFSC®認証製品のような、森林環境に配慮して生産された製品の利用、流通が日本の中で拡大していくことは、世界の森林環境を保全していく上で重要な意味を持つと言えます。
世界の各地に存在する、FSCの認証を受けた森林は、2012年から2016年までの間に、約1.56億ヘクタールから約1.91億ヘクタールにまで増加。現在も、その面積は増え続けています。
WWFでは、今回のFSC®認証製品のような環境に配慮して生産された木材製品が日本でも増えていくこと、またこうした商品が選択、利用され、世界の森林環境の保全につながっていくことを期待しています。
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