目玉焼きの写真が暗示する“日本の学校教育”。制作した大学生が込めた思い

「本来、目玉焼きは同じ形になる事はない料理ですが…」
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「私が思う日本の学校教育への疑問」としてTwitterに投稿された、長方形に切りそろえられて並べられた目玉焼きの写真が話題になっている。

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sayakaさんがTwitterに投稿した写真
Twitter/xxxisyk19

 九州産業大学4年生で、グラフィックデザインを専攻しているsayakaさんが4月14日に投稿した 。写真内には以下のようなメッセージが書かれている。

同じ服を着せ、同じ考え方、同じ答えを求める。

「普通」になるために切り捨てられていく個性。

まず第一に「静かにする」ことを教える日本の教育。

子供の将来のためという大人のエゴ。

本当に子供たちに必要なのは自らの意思で選択できる力とそれができる環境ではないだろうか。

■作品を制作したsayakaさんに思いを聞いた。

sayakaさんの投稿は、18日までにリツイート数5万回を突破。「素敵!わかりやすいです!」「大学パンフレットかと思ったぐらいクオリティー高い」などと反響を呼び、「教育ではなく、国民性の問題では?」といった議論も生まれている。

作品を制作したsayakaさんが18日、ハフポスト日本版の取材に答えた。

「本来、目玉焼きは同じ形になる事はない料理」とした上で、日本の学校教育は「一人一人生まれ持っている個性や考え方を『普通』という形に切り整えていくという現状がある」と作品に込めた思いを語った。

sayakaさんとの一問一答は以下の通り。

――「日本の学校教育」のグラフィックは、大学のどんな授業で、どんな課題として制作した作品でしょうか?

本作品は2018年に受講した『グラフィックデザイン演習IV』という、グラフィックデザインに必要な発想や技能など基礎的なトレーニングを行う授業で制作しました。写真との組み合わせを用いて「内包的意味によるメッセージの伝達」が目的でした。

 その中で私は「日本の学校教育」という基本テーマを設定し、その解釈を含めたメッセージ(画一化)を決定し、意味化を行いビジュアル化しました。課題の必須事項として写真を使用すること、写真は自身で撮影すること、最終的にメッセージ(テーマ)をコピーとして配置することでした。

――なぜ目玉焼きを使うことを考えたのですか?

私の取り上げたテーマは、学校教育という重たい内容だったので、ビジュアルは出来るだけ明るくポップに仕上げ、目を引くものにしたいと考えたからです。さらに、身近なもので表現する事で親近感を覚え理解してもらいやすくなると考えました。 

また、私自身高校の時に「食品化学」を学んでいたので食べ物は取り組みやすいモチーフでした。そして、単純に当時の私は食べ物を美味しそうに撮影する事に夢中だったことも目玉焼きを起用した一因です。 

――この作品に込めた思いは何ですか?

本来、目玉焼きは同じ形になる事はない料理です。それは私たちにも共通する事だと感じています。しかし、現代の学校教育では、一人一人生まれ持っている個性や考え方を『普通』という形に切り整えていくという現状があると思います。なので、本来様々な形に広がるはずの白身を切り整え、さらに長方形に整えることで日本の国旗を連想させ『日本の学校教育』を比喩的に表現しました。 

本作は「本当にそれだけが正しいのか?」「矛盾しているんじゃないか?」という現代の学校教育に対する問いかけと同時に、その様な問題意識を持って欲しいと考えています。もう一つは単純に個性を伸ばす教育であってほしいという願いの気持ちです。

批判的な文章を添えたのは、ビジュアルのポップさと対象的に仕上げたかったからです。

――作品を作る上で苦労したことは?

撮影以外の工程全てに苦労しました。ルールが少なかったためテーマやメッセージ決めの際、選択肢が多過ぎて取捨選択する事に苦労しました。

また、ビジュアルとして美しく見えるよう、文字を配置する面積は四角の目玉焼き一つ分と決めていて、写真上で120文字ほどで私のメッセージを表現しないといけなかったので、言葉選びや文章構成に悪戦苦闘しました。

――今回、Twitterに投稿したのは、どのような理由ですか?

パンテーンの髪に関する校則のドキュメンタリームービーを友人のリツイートで見かけ、テーマは少し違うけれど、以前、私も学校の校則に関する作品を制作したことを思い出し、何気ない気持ちで投稿しました。 

――今回のツイートは数万回もリツイートされてますが、反響をどのように感じていますか?

初めて自身の作品をTwitterに投稿して、このように反響があってひたすら驚いています。

また、反響に対しての想いは既にTwitterでも述べていますが、課題として提出して公募やコンペにも出さず、先生と友人10名ほどに見てもらうだけで終わっていた私の作品がこうして注目を浴びたことがなによりも嬉しいです。多くの人からお褒めの言葉や現役のデザイナーの方からのアドバイスも頂くことができ自信にも繋がりました。

逆に批判や異論反論もたくさん頂きましたが、自分とは違った考えや視点、知らなかった知識を得ることができ、とても感謝しています。また、私の意図が伝えきれなかった部分もあったので、それは今後の課題であると感じました。しかし総合的に今回のツイートによる反響は私にとって非常にいい刺激で、グラフィックデザイナーへの大きな第一歩を踏み出す良い経験になったと感じています。 

――撮影に使った目玉焼きはその後、どうなりましたか?

写真に写っている手は私の友人で、撮影に協力してもらい、撮影後その友人と昼食として頂きました。初めに切った白身は撮影の前に私が醤油をかけて食べました(笑)