韓国にはフライドチキンのソムリエ資格が存在する。チキン好きの記者が、試験を受けてみた結果は…。

試験直前、動物愛護団体まで登場する事態に…
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韓国で、フライドチキンは国民食です。フライドチキンを提供するお店は約3万6千店(2016年現在)あり、デリバリーの鉄板メニューでもあります。チキンとビールの組み合わせは「チメッ」と呼ばれ、スポーツ観戦やピクニックの定番です。プレーンな味から、甘辛いコチュジャンベースのヤンニョムチキンまで様々な味付けを楽しめます。

そんなフライドチキンにソムリエ資格「チムリエ」が存在する——。ハフポスト韓国版のエディターのキム・テウが、「チムリエ」検定に挑戦しました。 

大半の韓国人と同じように、私もチキンが好きだ。夜勤で定番の夕食メニューと言えば、チキンだ。私は新しいメニューに挑戦するのも恐れないタイプだ。チムリエに資格試験を受けてみろと先輩から勧められた時も、「チキン鑑別士資格試験なら、あっさり通過するんじゃないかな」と、自信満々だった。

こうして「チムリエ」チャレンジが始まった。

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チムリエ資格試験に挑戦してみた。結果は予想と違った。
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「第2回チムリエ資格試験」の広告。デリバリーサービス「配達の民族」が主催。
HuffPost Korea

準備

チムリエの試験を受けるためには、デリバリーサービス「配達の民族」が提示したオンライン模擬テストを受験しなければならない。58万人がこの模擬テストを受け、満点だった1万7千人のうち500人が任意に選ばれ、資格試験を受けられることになった。

取材の一環なので模擬テスト自体は受けていないが、もし受験していても十分に通過できる気がした。その根拠のない自信は、ずっとあった。過去問題を解いてみるまでは。

第1回チムリエ資格試験で出た問題は、想像を超えるものだった。筆記領域には鶏の音を区分する聞き取り評価はもちろん、フライドチキンチェーン「ペリカーナ」の成長戦略を当てろとの設問もあった。

ここで、自信が削がれた。特別勉強しなくても問題ないだろうという考えはたちまち消えた。

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「チシュランガイド」。裏表紙には「毎日食べたいチキン、知って食べればもっと美味しい!」と書かれ、資格取得者の名前でチキンの形を描いている。
HUFFPOST KOREA/ TAEWOO KIM

「配達の民族」が出版した案内書「チシュランガイド」を教科書にした。チキンの歴史はもちろんのこと、チキンと付け合わせの大根の甘酢漬けを食べる適切なペースも学んだ。しかし、最後の最後まで読んでも、失った自信は戻ってこなかった。各種チキンブランドのメニューに目を通し、ブランド史まで勉強して、やっと試験を受ける準備ができたと感じた。

試験当日

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HUFFPOST KOREA/INKYUNG YOON

7月22日午後、ソウル松坡(ソンパ)区のロッテホテルワールド。「第2回チムリエ資格試験」が開催された。会場には主催する「配達の民族」の広告モデル・キムソへ、チキンサークルの大学生や韓国でブログを運営する外国人らと両親の手を握ってきた子どもたちが参加した。

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試験は2段階に分けられる。筆記30題と実技10題だが、それぞれ50%ずつ点数をとれば「公認民間資格証」を得られる。昨年は500人のうち119人が試験を通過したという。通過者の名前は「チシュランガイド」の裏表紙にも掲載された。

「チシュランガイド」改訂版が出たら、私も名前が載ったらいいなと思った。

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「第2回チムリエ資格試験」の受験票。
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「配達の民族」キム・ボンジン代表も、他の参加者とともに試験に挑戦した。キム代表は同日、ハフポストコリアとのインタビューで「昨年も試験を受けたが落ちた。浪人しに来たが、難易度が昨年より難しいそうだ」と話し、代表にも試験問題は公開されなかったと明かした。

昨年の第1回試験を首席で合格したキム・ミジョンさんも「今年は(合格が)少し難しいだろうと思う」と緊張した様子を見せた。

司会が登場してほどなく、ハプニングが起きた。

試験が始まる直前、動物愛護団体のメンバーが突然壇上に登場し、受験者に向かって「チキンの死はあなたにかかっている。鶏は生命だ」と叫んでデモを繰り広げたのだ。

デモは5分ほど続けられたが、ホテル側に制止された。司会が再び入場して「進行をするなと言われたが、進行させないと、行事費をより多く払わされる。鶏も生命だが、私も生命だ」と話し、状況を収拾しようとした。

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動物愛護団体が抗議デモを行なっている。
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右側のカードには「あなたが食べれば私は死にます -鶏-」と書かれている。
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「配達の民族」側は「みんな楽しい気持ちでいらしたと思いますが...こんな状況となり、残念です。肉食を反対して生命を尊重する趣旨は理解できるが、反対意見を表現する方法が他の人の心の傷となったのが残念だ」とした。

事態が収拾され、試験が始まった。筆記試験はやはりチキン専門家でなければ、正答するのが不可能な問題だらけだった。音だけ聞いて、チキンを何切れ揚げているか当てる問題や英語の聞き取りもあり、フライドチキンチェーン大手の「キョチョンチキン」と「ペリカーナ」の創立年度を知っていてこそ解ける問題もあった。

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読解問題。
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フライドチキンのカチューシャをつけ、真剣に問題を解いている。
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実技試験では、全部で10切れのチキンが与えられた。フライド、テンダー、ヤンニョムチキン、カンジャン、ホットフレーバーを食べて、店の名前を答える問題が8題あった。

残りの2つの問題は、チキンに入っていない材料を選ぶ。1度も聞いたことのないチェーン店「コリエンタル エゴマの葉 2匹のチキン」の「ホット!シーフードチキン」が登場した時は、困惑するほかなかった。

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実技領域。「フライド①」シールが貼られたケースに、チキンが入っている。
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実技領域で提供されたチキン10かけ。
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真剣に回答する受験者たち。
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試験後記

試験が終わり、答案が公開された瞬間、期待感が高まった。普段からのヤマを当てる力のおかげで、30問のうち19問も正解だったのだ。特に、売り場でチキンを揚げる音を聞いて、何切れを揚げたのか選べという問題を当てた時は、心の中で歓喜の声を上げた。

問題は実技だった。普段チキンをよく頼んで食べているつもりだったが、試験に合格するほどの味覚ではないみたいだ。実技領域では、ヤンニョムチキンを除いていずれも誤答だった。あなたは「トボンイチキン」というチェーン店のメニュー「トボンイささみテンダー」を食べたこと、いや、聞いたことありますか?

20分間で計8つのチェーンブランドを当てるのには「チキン修行」が足りなかった。昨年の首席合格者キム・ミギョンさんは、試験を控えて週に4~5回ぐらいチキンを食べたという。そうしなかったのが、不合格の原因だろう。

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一緒に受験した「同期」はチキンを分解したり、香りを嗅ぐなど多角的に分析していた。1番から3番まではフライドチキンだったが、見た目のみならず味や匂いまで似ていて、全く見分けられなかった。食べてみたこともないブランドも名を連ねていた。

必ず合格するという抱負とは違って、速攻で脱落した。筆記領域63%、実技領域10%という成績で「チムリエ」になれなかった。恥ずかしい成績が教えてくれたのは、チキンの世界は思ったより専門的で奥深いということだ。

来年も試験があれば、また挑戦してみるつもりだ。来年の今頃、もしかしたら「チムリエ資格、取得成功」という記事を読めるかもしれない。

第2回チムリエ資格試験の通過者リストは8月2日発表され、チムリエ資格証が授与される予定だ。

ハフポスト韓国版から編集・翻訳・加筆しました。