Skala Sikamineas, Lesbos Island, Greece
ヨーロッパを目指して危険な旅をする難民のイメージが、近頃のニュースにはあふれている。
たいてい、こうしたイメージは心の痛むようなものだ。男性、女性、そして子ども達がエーゲ海で死に勇敢に立ち向かい、劣悪なキャンプで生き延び、多くの場合難民の受け入れをしぶるヨーロッパ諸国を何日も歩き続ける、といった。
カナダ出身の写真家フレデリック・セギンさんは、難民達のヨーロッパでの旅の行程を取材し、難民危機の別の一面を見せることを決心した。それは、逆境の中にあるたくましさだ。
26歳のセギンさんは、移民ルートに沿って旅をしながら、子ども達の喜びの瞬間を写真に収めた。レバノンの難民キャンプからギリシャの海岸を越え、マケドニアの難民一時滞在所、そして最終的に多くの難民達の望む目的地であるドイツまでの旅だ。
「私たちがいつも目にするドラマチックで悲劇的な写真は、難民達の『人間性』を奪う傾向があります」。セギンさんはワールドポストへのメールでそう書いた。「同じ悲劇的な状況でも、たくましく、笑顔を見せる人の方がはるかに力強く、心に訴えかけてきます」。
「子ども達はたいてい写真を撮ってくれるようせがむのですが、カメラを向けると笑顔で応えてくれます」とセギンさんは話した。
2015年には100万人以上の移民や難民がヨーロッパへたどり着いたが、そのほとんどは戦火にまみれたシリアから逃げて来た人々だ。同年地中海を渡って逃れて来た人のうち、5人に1人は子どもだった。
冬に海を渡るのは危険であり、またヨーロッパの国境越えが厳しくなりつつあるにも関わらず、記録的な人数の移民や難民が流入し続けている。先月には4万5千人以上がボートに乗ってギリシャへたどり着いたが、その数は昨年の1月の30倍以上となった。
セギンさんの写真集は「Smiles in Exile(亡命者たちの笑顔)」と題され、彼のウェブサイト(英語)でさらに作品について詳しく知ることができる。キャプションはすべて写真家によるもので、わずかに編集を加えた。
マケドニア共和国 ゲブゲリア一時滞在所
「悲劇や事件といった言葉が難民危機のイメージでした。しかし、現状を伝えるため現地へ出向いていったら、それだけでないということがわかりました。がっかりするようなことだけではなかったんです」
レバノン・ベッカー高原のシリア人の少年
「この笑顔を見て胸が張り裂けるような思いでした。これから自分の人生に何があっても、彼が笑顔になれるのだから、自分も笑顔でいるべきだと思っています」
マケドニア共和国 ゲヴゲリヤに設置されているユニセフのテント
「この笑顔を見れば、鉛筆のようなものでさえ貴重になり得るだということを、シリアの子どもは理解しているということがわかります」
ギリシャ レスボス島 スカラシカミニアス
「パリアはとても楽しそうに石けんの泡を作っていて、実は私もカメラを置いて一緒に泡を作りました」
ギリシャ レスボス島 モリア
「彼に残っていたのはこのクッキーと笑顔だけ。そのどちらも私に差し出してくれました」
ギリシャ レスボス島
「このような危険な旅に一番大切な人を連れて行くのがどれほど大変だろうかと、想像してみました。そんな危険な時が去った後に見つめるビーチの日没は、計り知れないほどの安堵であることでしょう」
マケドニア共和国 Tabanovce
「笑顔で遊ぶ子どもをここまで珍しいと思ったことはありません。本来なら、彼らにとっても普通であるべきはずです
マケドニア共和国 ゲヴゲリヤ
「ギリシャ国境のイドメニからマケドニアまで家族と共に歩いて向かっていた勇敢な少年。幸運な写真家にわざわざ手を振り笑顔を向けてくれました」
レバノン ベッカー高原
「 "サワリニ、サワリニ、サワリニ"(僕/私の写真を撮って)というのが、レバノンの難民キャンプで一番頻繁に聞いたアラビア語です」
ギリシャ レスボス島
「難民が島に到着するときには、身体は濡れ、混乱した状態で、乾いた服も、行く当てもありません。ボランティアが提供する保温ブランケットは、この島で数えきれないほどの命を救い、今でも大きな需要があります」
ギリシャ レスボス島 モリア
「この少年は希望を捨てていない。瞳はまだ生き生きとしていて、笑顔は輝いていました。どんなときでも笑顔になることはできるのです。どんな時でも」
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