膨大な食品の廃棄量に頭を悩ませるフランスで、大手スーパーマーケットがまだ食べられる食品を廃棄処分することを禁じる法律が制定された。
この法案は、5月21日にフランスの国民議会で全会一致で可決された。一連の法律によって、店舗の面積が400平方メートルを超えるスーパーマーケットは賞味期限切れなどで販売できなくなった食品を処分することができなくなる。
売れ残った食品は慈善団体に寄付するか、家畜の飼料や肥料に転用しなければならなくなり、法律に従っていることを証明するため、スーパーマーケットは慈善団体と契約を結ぶことも義務付けられる。
フランスのレクスプレス誌によると、フランス国民1人あたりの年間の食品廃棄量は平均20~30キログラムになるという。これはマクドナルドの「ビッグマック」139個分に相当する量だ。
これを金額に換算すると、一年で120億~200億ユーロ(約1兆6000億~2兆6700億円)が無駄にされていることになるとレクスプレス誌は報じている。
この膨大な量の食品廃棄物を減らすため、フランス政府は3年前に、廃棄される食品の量を2025年までに半減させるという大胆な目標を打ち立てていた。
イギリスと同じく、フランスのスーパーマーケットでは、これまで販売できなくなった食品の多くを化学薬品で処分してきたが、今後このような方法で処分することは禁止される。
レクスプレス誌は「まだ食べられる食品が廃棄処分され漂白剤がかけられていることは、恥ずべき事態だ」というフランスの農産食品業担当大臣ギヨーム・ガロ氏の言葉を伝えている。
フランスの大手スーパーマーケットチェーンルクレールのCEO、ミシェル・エドワール・ルクレール氏は、今回の新しい法律を歓迎するとしながらも「不要になった食品の回収や配送がスムーズに行われるようにするため、トラックや冷蔵庫を流通業者に提供するなどして、支援を行う必要がある」と語っている。
イギリスもフランスから学ぶことができるだろう。2014年に発表されたレポートは、イギリスでは毎年430万トンの食品が余分に生産されているものの、飢えている人たちに寄付されるのは、そのわずか2%にすぎないと報告している。およそ370万トンの食品が、埋め立てや熱処理などの方法で処分されているのだ。
また、インディペンデント紙が掲載した、イギリスのフードバンク「Feeding Britain」の報告書によれば、2014年にイギリスのスーパーマーケットチェーンのモリソンは、納入が17分遅れたという理由で、約1万個のコーニッシュパスティ(ミートパイ)の受け取りを拒否したという。
一方で、イギリスにはフードバンクを利用するイギリス人が少なくとも50万人いると推定されている。
フランスが制定した今回の新しい法律には食品廃棄の問題を学校の授業に取り入れることも含まれており、企業もこの授業に関わることができる。
この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:佐藤卓/ガリレオ]
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー