ドイツは2000年に脱原子力を決定し、2011年の東日本大震災後にそれを実行した。だがこれは、原子力発電分が再生可能エネルギー発電分に移行することを意味する訳ではなかった。
2002年から2015年までの間、原子力発電は30%から20%に減った一方で、石炭火力発電は50%から60%超へと増えた(資料3)。即ち、原子力発電は化石燃料発電に取って代わられたのだ。
<資料3:ドイツの電源構成(2002年、2010年、2015年)>
出所:Eurostat
結果として、CO2排出量は増加した。IEA(国際エネルギー機)が2015年に出した報告書によると、ドイツのCO2排出量は488.8kgCO2e/MWhとなっている。
フランスでは、総発電量の3/4以上を原子力で賄っている。2015年では、総発電量に占める原子力発電量は76%(416.8TWh)、火力発電量は6%、水力など再エネ発電は17%となっている。総発電量の実に94%が、CO2を排出しない発電方式なのだ。
<資料4:フランスの電源構成(2015年)>
出所:RTE annual report
今もフランスの電力部門では、CO2排出量を低く抑えられている。上述のIEA報告書によると、フランスのCO2排出量は64.288kgCO2e/MWhとなっている。
これは、ドイツの1/8である。