シグマはFoveon(フォビオン)センサーを搭載する35mmフルサイズのミラーレスカメラの製品化計画をリセットすることを2月8日に発表した。2020年内に発売予定だったが、シグマのグループ企業であるFoveon社が開発するセンサーの開発が遅れたことが原因だという。
シグマの山木和人社長は同日のファンミーティングの中で、「センサーそのものの開発が遅れているために、カメラの発売が今年できないという事態になってしまいました」と説明した。新製品に期待して会場に集ったシグマ製品のユーザーからは落胆の声が相次いだ。
■Foveonセンサーの開発が遅れた原因は?
Foveonセンサーの正式名称は「Foveon X3」。アメリカのベンチャー企業のFoveon社が開発した、新しいタイプのセンサーだ。
一般的なセンサーでは、1画素あたりで赤・緑・青の光の3原色のうち1つしか読み取ることができない。しかし、Foveonセンサーでは、シリコンの異なる深さに3層のフォトダイオードを配置して色分離するという独自のテクノロジーを採用。非常に良い画質を得られるという特性がある。
同日に都内で開催されたファンミーティング「fpフェス 2020春」の中で、山木社長は「Foveonとしては初のフルサイズセンサーというのが一つの原因。もう一つ、Foveon社は設計のみでセンサーの生産は別企業の工場に委託している。今回、委託先の企業を変えたことで技術移転に苦労している」と説明した。
ハフポスト日本版が「中国で感染が拡大する新型コロナウイルスの影響があったのか」と質問したところ、「Foveon社も工場もアメリカ・カリフォルニア州にあるために、関係はありません」と山木社長は話した。
他の自社製品についても「福島県にある会津工場で全ての製品を作っているので、直接の影響はない」としたが、「電子部品やモーターや材料など、日本のメーカーが中国などで生産しているものについては、部品の供給に影響が出る可能性があります」と間接的な影響への懸念を示した。