買い出し困難時に欠かせない栄養素と食品は?

最低限意識しなければならないことは、三大栄養素を確保することです。
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2018年6月18日の朝、大阪北部を震源とした震度6弱の地震が発生しました。この記事は当該地震に関する注意喚起として過去記事を再編集しています。

災害によって物流が止まり、食料の買い出しができなくなってしまった場合、家に置いてあるものでしばらく対処しなければなりません。その時に最低限意識しなければならないことは、三大栄養素を確保することです。

三大栄養素の一つである糖質は、米や餅、雑穀、根茎類、果物などから得られます。

次にタンパク質は基本的に肉・魚類から摂りますが、家にない場合は「畑の肉」といわれる大豆製品(豆腐、納豆、油揚げ、味噌など)から摂取しましょう。

最後に脂質です。脂質は人間の体の新陳代謝や食物の分解吸収を促します。これもタンパク質と同じように肉・魚類から摂れますが、調理用油として使う菜種油、大豆油、胡麻油などからも摂れます。

さらに、これらを補助する栄養素としてビタミンとミネラルがありますので、三大栄養素とあわせて可能な限り摂取するようにしましょう。

このような栄養素の知識に加え、物流がストップした状況でしばらく生活しなければならない時に役立つ非常食品を、発酵学者で食文化論者の小泉武夫先生(東京農大名誉教授)が著書『賢者の非常食』の中で厳選しています。平時に家庭にあるだろう食品も多いので、体と心の健康を保つためにも、参考にしてください。

(1)ご飯:日本人に最も適した主食です。水道や電気が止まり、ご飯が炊けない時は、焼き米にして食べる方法もあります。

(2)餅:餅も米に次ぐ日本人の主食の王様です。餅はそのままで置いておくと腐りやすいため、米よりは先に食べましょう。

(3)高野豆腐:実は、高野豆腐は地球一栄養価の高い食品です。成分の50%はタンパク質、脂質が30%、さらにビタミンやミネラルも豊富に含まれています。

(4)湯葉:特に、干し湯葉があると保存も効きます。しかも軽くて持ち運びやすいことも利点になるでしょう。

(5)麩:小麦のグルテンを原料とした「麩」。グルテンはタンパク質が豊富で、消化にも良いのが特長です。

(6)納豆:タンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富な納豆は、大豆に比べても、ビタミンB2が7倍も多く含まれています。

(7)干し芋(乾燥芋):芋類は、でんぷんの塊のようなものです。ご飯や餅がない場合でも、芋があれば炭水化物に事欠くことはありません。

(8)切干大根:生の大根はほとんどが水分ですが、切って干すだけで糖質とミネラルがぐんと増加し、一気に非常時に心強い栄養源と成ります。

(9)ドライフルーツ:杏やリンゴ、レーズンなどを乾燥させておくと保存できます。特にレーズンは濃密な糖質、カリウム、カルシウム、ポリフェノール、食物繊維なども豊富です。

(10)干物:魚も干して乾燥させると保存がきくだけではなく、栄養成分が飛躍的に増加します。

(11)鰹節:鰹節は70%以上がタンパク質、その他が旨み成分でできています。そのまましゃぶって食べてもたくさんの栄養を摂取できる優れものです。

(12)ヨーグルト、チーズ:ヨーグルトは牛乳よりもカルシウムが吸収しやすくなっており、また乳酸菌は腸内環境を整え、免疫力を上げてくれます。チーズはタンパク質と脂肪がたくさん含まれているだけではなく、ビフィズス菌などを腸内に送り込み、腸内環境を整えます。

(13)パン(乾パン、ビスケット):炭水化物のイメージが強いパンですが、パンは米に比べてもミネラルが特に豊富である点が特長です。

(14)梅干:梅干の強い酸味はクエン酸を中心とした有機酸で、整腸作用や食欲増進、殺菌作用が期待できます。

(15)味噌(即席味噌汁):栄養価が高いことは言うまでもありません。インスタント味噌汁も、自然の味噌とほぼ同じ成分であるため、塩分の補給などにとても適しています。

(16)嘗物(なめもの):嘗物というのは醤油や味噌を指しますが、こちらも長く保存でき、どんな調理にも使えるのでとても便利です。

(17)漬物:保存食としての価値はとても有名ですが、食物繊維もたくさん摂れるため、非常時でも成人病の予防に役立ちます。

(18)キムチ:キムチには乳酸菌やビタミン類がとても多く含まれ、消化吸収にも適しています。

(19)佃煮:魚介類の保存用としても有効で、カルシウムや鉄分などの供給源としても優れています。

(20)羊羹:少し意外かもしれませんが、羊羹は約3年も持つ保存食でタンパク質やミネラルが豊富。

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