リャン・ブア洞窟における発掘調査の様子。Credit: Liang Bua Team
インドネシア・フローレス島のリャン・ブア洞窟で、「ホビット」として知られる小柄な旧人類であるフローレス原人(Homo floresiensis)が発見されたことは、2004年の考古学上の大事件だった。
これが大きな議論を巻き起こした要因は、フローレス原人がリャン・ブア洞窟にいた年代が9万5000年~1万2000年前であり、現生人類がこの地域に定着した年代(約5万年前)よりも後まで存続していたためであった。
当時の調査チームのT Sutiknaをはじめとする多くのメンバーはその後、他の研究者らとチームを組んでリャン・ブアを再び訪れ、洞窟内の未調査部分を新たな発掘によって調べた。
その結果、洞窟内の堆積層は均一に堆積しておらず、フローレス原人を含む層は考えられていたよりも古いらしいことが分かった。
新たな放射年代測定から、フローレス原人の遺骨と石器の年代は19万~5万年前となった。従って、島に到来した現生人類に遭遇するまでフローレス原人が存続していたかどうかは、議論の余地がある問題である。
Nature532, 7599
2016年4月21日
原著論文:
doi: 10.1038/nature17179
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