論文で、アタキシン2を減少させる治療法が報告されている。

アタキシン2のポリグルタミン鎖の伸長は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のリスクを増加させ、脊髄小脳失調症2型(SCA2)の原因となる。これら2つの神経変性疾患の治療法はまだない。今週号の2報の論文で、アタキシン2を減少させる治療法が報告されている。

D Scolesたちは、進行性の成体期発症ニューロンネットワーク機能障害および変性を再現する2つのSCA2モデルマウスで、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を検討した。最も有望な治療リードであるASO7は、ATXN2のmRNAとタンパク質の発現を低下させ、SCA2表現型の発症を遅らせた。

さらに、症状を呈したマウスに投与すると、小脳プルキンエ細胞の発火頻度が正常化し、運動機能が改善した。ほぼ全てのALS患者では、脳と脊髄にTDP-43タンパク質の毒性凝集体が見られ、酵母およびハエでアタキシン2を低下させるとTDP-43の毒性が抑えられることが示されている。

L Beckerたちは、マウスで遺伝的に、あるいはアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてアタキシン2を低下させると、TDP-43の凝集と毒性が低下して運動機能が改善し、寿命が延びることを明らかにしている。どちらの報告も、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた治療法が、神経変性疾患治療に使用できる可能性を示唆している。

Nature544, 7650

2017年4月20日

原著論文:

doi:10.1038/nature22038

doi:10.1038/nature22044

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