不妊治療助成に年齢制限、「42歳以下」と「39歳以下」の2案で議論

不妊治療の公費助成に年齢制限を設ける方向で議論している厚生労働省検討会の作業チームが、助成対象を「42歳以下」とする案を新たにまとめたことが26日、関係者への取材で分かった。医学的有効性などを根拠に既に議論の対象となっている「39歳以下」の案とともに、29日に開かれる検討会に提示する。
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Pregnancy, computer artwork.
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不妊治療の公費助成に年齢制限を設ける方向で議論している厚生労働省検討会の作業チームが、助成対象を「42歳以下」とする案を新たにまとめたことが26日、関係者への取材で分かった。医学的有効性などを根拠に既に議論の対象となっている「39歳以下」の案とともに、29日に開かれる検討会に提示する。共同通信が伝えた。

朝日新聞デジタルによると、助成事業は少子化対策の一環で2004年度に始まった。現在は年収730万円までの夫婦を対象に、1回あたり最大15万円を助成している。回数は5年間で10回まで。さらに1年目は3回まで、2年目以降は年2回までと制限があるものの年齢制限はない。助成件数は04年度は1万7千件だったが、その後の対象拡大もあり07年度は6万件、11年度は11万件と増えた。

NHKによると、厚生労働省は、女性の年齢が上がるとともに治療が出産につながる割合が大きく下がることなどから、助成制度に年齢制限を設けるべきかどうか検討会を設けて議論している。

この検討会のワーキンググループが出産につながる割合のほか妊娠による合併症の発症などを年齢ごとに詳しく分析した結果、「42歳以下」か「39歳以下」に限るという2つの案をまとめたことが分かった。

回数については、現在は年間2回から3回までとなっているが、患者が利用しやすいように年間の制限をなくしたうえで合計の回数は6回までとしている。また40歳以上で治療を始めた人については、3回までとしている。

検討会ではこれまでに「40歳を超えると不妊治療の成功率が下がり、流産率も高くなる」との研究班の調査結果が報告されている。一方、一部の委員からは「治療を断念する人が増える42~43歳を区切りにしてはどうか」との意見も出ていた

検討会はこの案を基に29日に議論を行い、何歳まで助成を受けられるか最終的に決定する見通しだ

■ 年齢制限に反対の声も

一方で、年齢制限そのものに反対する声もある。舛添要一元厚生労働相は2013年6月23日、フジテレビ系「新報道2001」に出演し、次のように語っている。

「医学的に言えば、35歳を超えた出産はさまざまなリスクを伴う。妊娠しにくくなるのも事実だ。ただ個人差はあり、40歳を超えて産んだ人も多い。大臣時代、助成に関する所得制限額を引き上げた。最初から年齢制限を検討するのは反対だ。」

「(年齢制限は若い時期の出産を促すきっかけにならないかという問いに対して)では、なぜ晩婚化が進んでいるのか。夫婦で共働きするための保育所は足りず、待機児童はたくさんいる。産むための条件整備は社会全体で改革しないとならず、年齢制限だけではいけない」

(産経MSNニュース【新報道2001抄録】舛添氏「不妊治療助成の年齢制限に反対」2013/6/23 19:49)

■ 不妊症と不妊治療とは

妊娠を望んでも2年以上かなわないと不妊症といわれる。カップル10組に1組が悩んでいるとのデータがある。不妊治療には、精子と卵子を混ぜて受精させる体外受精や、卵子に針を刺して精子を注入する顕微授精などがある。多くは公的医療保険が使えず、体外受精や顕微授精の費用は1回あたり数十万円。女性の晩婚化などの影響もあり、不妊治療の実施件数は年2万~3万件ずつ増加。2010年は全国で24万2千件が行われ、2万8千人が生まれた。実施施設は591施設あり、多くは民間のクリニックだ。

(コトバンク「不妊症と治療」より)

※不妊治療の助成に関し、「39歳以下」「42歳以下」という年齢制限についてどちらが妥当か、あるいは年齢制限そのものの是非について、みなさんのご意見をお寄せください。