「フェミニズム」がアメリカの辞書の「今年の言葉」に選ばれた

一方、日本では「フェミニズム」「フェミニスト」を巡って、辞書の説明を変えようという運動も起きている。
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エマワトソンの「ノーブラ」写真をめぐる騒動もありました。
Mario Anzuoni / Reuters

アメリカのオンライン英語辞典「メリアム・ウェブスター」は12月12日、2017年の「今年の言葉」として「フェミニズム」が選ばれたことを発表した。

「今年の言葉」は、前の年と比べて検索された件数が急上昇した言葉に対して贈られる。「フェミニズム」が検索された件数は2016年から70%上昇。年間を通じて検索上位にあったという。

女性に対する差別発言などを繰り返すドナルド・トランプ大統領の就任をきっかけに抗議デモ「ウィメンズ・マーチ」が世界各地で広がったことや、ハリウッドから広がったセクハラ・性暴力の告発などがその理由とみられる。

「メリアム・ウェブスター」は検索の契機になったいくつかの事例を発表している。

まずはトランプ大統領の就任翌日、1月21日にワシントンD.C.など全米各地で開催されたウィメンズ・マーチ。

また、映画「ワンダーウーマン」などエンタテインメイント業界と連動してその意味にも注目が集まった。

さらに、2017年下半期には、ハリウッドの大物らが、女優らに対して過去に行ったセクハラ疑惑で次々に告発された。この動きは政界や一般社会にも広がった。Twitter上などではハッシュタグ「#MeToo」を付けて、女性たちが「自分も同じ目にあった」と告白する投稿で連帯と支援の意を表明した。

メリアム・ウェブスターは言及していないが、他にも女優エマ・ワトソンが、雑誌で公開した「ノーブラ」写真をめぐって浴びた批判に対して「フェミニズムをはき違えている」と反論した騒動などもあった。

日本の辞書では「フェミニズム」に異なる意味が書かれている

「メリアム・ウェブスター」で「フェミニズム」を検索すると、その意味には「性別間の政治的、経済的、社会的平等の理論」「女性の権利と利益のための組織的運動」と書かれている。

一方、日本では2017年、辞書に記載されている「フェミニズム」「フェミニスト」の説明文について疑問視し書き換えを申し入れる署名運動が広がった。岩波書店の「広辞苑」は指摘を考慮し、2018年1月発行予定の改訂版で説明文を書き換えると表明している。

「広辞苑」の現行版で「フェミニズム」は「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする思想・運動。女性解放思想。女権拡張論」と説明。

また、「フェミニスト」については「①女性解放論者。女権拡張論者。②俗に、女に甘い男」と説明されており、いずれの言葉にも「男女平等」という概念は書かれていない。

この記述に対して、男女平等を求める若手フェミニストグループ「明日少女隊」は、「イギリス、アメリカ合衆国、フランス、韓国の辞書にも、性別平等の意味が入っています」として、平等の概念を盛り込んだ文章に書き換えるよう岩波書店側に求めていた。