■貸切りバス運転手の9割が「運転中に睡魔に襲われたり、居眠りをしたことがある」
警察庁の調査によると、近年の交通事故の発生状況は、「安全不確認」「脇見運転」「漫然運転」など、ヒューマンエラーを原因としたものが全体の約70%を占めています。しかも、2008年と2012年を比べると、漫然運転は約2倍に、脇見運転も約1.5倍に増えています。これらのヒューマンエラーによる交通事故増加の大きな要因となっているのがドライバーの「過労」です。
過労による事故を少しでも減らそうと、国土交通省では、バスやタクシー会社を対象に、過労運転防止機器の導入に補助金を支給するなどの対策をとっていますが、少子高齢化などの理由から、トラック、バス、タクシーなどのドライバー不足が懸念され、ドライバーの負担はますます大きくなっていくと考えられます。
ドライバーの過労は、居眠り運転など悲惨な大事故を引き起こす原因にもなりかねません。総務省が2009年に実施した調査によると、貸切りバスの運転手の90%が「運転中に睡魔に襲われたり、居眠りをしたことがある」と回答。今後、ドライバー不足が深刻化し、ドライバーの負担が今よりも大きくなれば、この割合もさらに高くなっていくのかもしれません。
そこで、富士通は、ドライバーの脈波から眠気の傾向を検知し、ドライバーや運行管理者に通知し、安全運転を支援するウェアラブルセンサー「FUJITSU Vehicle ICT FEELythm(フィーリズム)」を開発しました。
■センサーがドライバーの眠気を感知して知らせてくれる
「FEELythm」本体
「FUJITSU Vehicle ICT FEELythm(フィーリズム)」の特長は、トラックやバス、タクシーなどのドライバーが、運転中にも抵抗感が少なく使えるように、「イヤークリップ方式」を採用していること。ドライバーがクリップ型センサーを耳につけて車を運転すると、センサーが脈波情報を収集します。
収集した脈波情報を独自のアルゴリズムで解析し、機器による個体差やドライバーの個人差による収集データのばらつきを補正。精度高く収集したデータから、眠気の傾向を感知すると、車載機やスマートフォンからの音声、またはセンサー自身のバイブレーションでドライバー本人にアラートを発します。さらに運行管理システムと連携することで、バス会社や運送会社などの運行管理者に通知する仕組みです。
この仕組みを使えば、データを継続的に収集できるので、バス会社や運送会社などの運行管理者は、ドライバーに対して客観的な指標に基づく指示をだせるようになります。また、ドライバーの「クセ」を見つけ、適正な状況把握ができるようになるので、運転シフトの見直しをはじめ、ヒヤリハット体験の共有といった安全運転教育や健康管理などにも役立てられます。
今後は、ドライバーから収集される膨大な運転者情報をさらに高度に分析し、緊張の条件を蓄積・分析したハザードマップなどに応用。事前に危険予測をするなど、運輸安全マネジメントの支援にも活用していく考えです。富士通は、ICTで交通事故を少しでも減らし、より安全で安心に暮らせる未来を創りあげます。
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