宇宙のかなたで一瞬フラッシュのように電波が観測される「高速電波バースト」と呼ばれる謎の現象の正体は、約50億光年離れた銀河で起きた大爆発とみられると、東京大学と国立天文台などの研究チームが25日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
高速電波バーストは、約千分の1秒の一瞬に激しく電波を出す現象。2007年に最初に、その後13年には4回確認された。全天で1日数千回も起きているとの推測もあったが、どのような天体現象か詳しいことは謎だった。
東京大学大学院理学系研究科の戸谷友則(とたに とものり)教授らは、オーストラリアの電波望遠鏡が昨年4月、おおいぬ座の方向で高速電波バーストを見つけたことを受け、米ハワイにある国立天文台の「すばる望遠鏡」による同じ方向の観測データを分析した。
その結果、この謎の現象の発生源である銀河を特定。可視光の波長分析結果などから地球からの距離が約50億光年であることを突き止めた。研究グループは、この銀河は古い星の集まりで、中性子星同士の合体によって誕生し、重力波を放出している可能性がある、としている。
関連リンク
・東京大学大学院理学系研究科・理学部プレスリリース「すばる望遠鏡が解明、本当に50億光年の彼方からやってきていた‐謎の天体・高速電波バースト」
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