宇宙に取り残されたロケットが、7年後になって月に向かっているようだ。
宇宙の専門家たちが、イーロン・マスク氏が率いるSpaceX社の「ファルコン9ロケット」が、月に衝突する軌道にあると予想している。
このロケットは、2015年2月に宇宙環境観測衛星を軌道に乗せる目的で打ち上げられた。
ファルコン9は2段式のロケットで、1段目は衛星を送り届けるミッションに成功したものの、2段目は燃料不足で地球に戻ってくることができず、宇宙空間に残った。
このファルコン9が、月に衝突する軌道にあると発表したのが、地球近くの天体を追跡するソフトウェア開発者のビル・グレイ氏だ。
グレイ氏は1月21日に掲載したブログで、天文家たちのデータを集計した結果、ファルコン9が月に衝突することがわかったと報告した。衝突日を3月4日と予測している。
また、天文学者のジョナサン・マクダウェル氏も、ファルコン9が月に衝突するだろうと述べている。
マクダウェル氏のツイート:2015年に高軌道に取り残された古いファルコン9の2段目は、3月4日に月に衝突します。非常に興味深いですが、一大事にはならないでしょう
マクダウェル氏はBBCに、この衝突は制御できなくなったロケットが月にぶつかる初めてのケースになるだろうと述べている。
その一方で、衝突の影響は小さく「月の表面に小さな人工のクレーターを残す程度」と予測している。
グレイ氏も、「衝突の影響はごくわずか」と説明し、安全性の面では問題はないだろうとつづっている。
また、ロケットは月の裏側に着地するため、地球から衝突の影響を見るのは難しいという。
ただし、衝突の正確な日時や場所、影響は、太陽からの放射圧などいくつかの要素で変わる可能性があり、グレイ氏は正確な情報を得るために3月4日まで観察を続けるとしている。