Facebook重役キャロリンの成功を支える、夫の揺るぎないサポート

アメリカ・ニュージャージー州モントクレアの裏庭、春のとある平日の午後に、ダグ・エバーソンはいつものように犬のフンの掃除をしていた。
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アメリカ・ニュージャージー州モントクレアの裏庭、春のとある平日の午後に、ダグ・エバーソンはいつものように犬のフンの掃除をしていた。

ダグ・エバーソンが、妻のキャロリンと12歳になる双子の娘たち、そして4匹の犬と1羽のウサギと一緒に住んでいる家に戻ると、妻のFacebookのページが更新されていることに気がついた。キャロリンは今仕事でイスラエルにいるのだった。

キャロリンはFacebookのグローバル・マーケティング・ソリューション部門の副代表で、彼女は夫のダグが外で汗水流して働いているとき、ノーベル賞受賞者と一緒に楽しく過ごしていた。

「これが私たちの現実です。私は犬のフンを拾っている間、彼女は(イスラエル前大統領の)シモン・ペレスに会っているのです」と、57歳のダグ・エバーソンが笑いながらハフポストUS版に話してくれた。

ダグ・エバーソンは、対照的な2人の関係を楽しんでいるかのように見えた。4年ほど前、彼は製薬会社メルクで最高経営幹部として数十年過ごした後、妻が大変な仕事に集中できるように退職して、2人の娘とペットたちと一緒に過ごす道を選んだのだ。

今、ダグは娘のテイラーとケネディーのそばにいて、面倒を見てあげられるので嬉しいと話した。「私が主夫をやることは家族みんなにとって良いことなのです」とタグは語る。「また、妻に世界中の色々な所に連れてってもらうことも、2人の娘たちにとって素晴らしい経験になるかと思います」

「夫に家にいてもらい、娘たちと4匹の犬を見てもらうことで、間違いなく私は自分のやりたいことができるようになりました」とキャロリンはメールインタビューに答えてくれた。「これは真のパートナーシップで、私たちはチーム・エバーソンと呼んでいます。夫の揺るぎないサポートがなかったら、海外にも行けず、Facebookの仕事もできなかったでしょう」

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エバーソン一家は、ともに経営幹部であった夫婦が「どのように自分たちの生活を作っていくか」という点で、これまでのルールを破った一例だ。

男性は数十年間、あまり楽しくない家事をやってくれる妻に助けてもらいながら、会社の出世階段を急ぎ足で駆け上がっていた。現在では共働きのカップルが典型的だが、夫婦のフレームワークはあまり変わっていない。多くの女性が家事をこなすかたわら、フルタイムでの仕事も続けている。その結果、女性のキャリアは、階段の真ん中で身動きが取れなくなってしまい、後は夫が頂上に登るのを眺めるだけになるのだ。

「ハーバード・ビジネス・レビュー」が行った調査によると、ハーバード・ビジネス・スクールの卒業生の男性の約75%は、パートナーよりもキャリアの昇進が先立っているとのことだ。また、女性は子供たちの面倒を見ないといけなくなる可能性が高かった。

ビジネス界におけるキャロリン・エバーソンのような存在は、まだそう多くはない。NPO団体であるキャタリストの調査によると、「S&P500」の企業において、女性の役員や上層部管理職はわずか25%だ。Facebookですら、COOのシェリル・サンドバーグは女性の起用を進めていることで有名になったが、指導的なポジションにおける女性の割合はわずか23%である。

このビジネスの世界には、なんとかこの渦を巻くようなバイアスを正し、失われた機会を取り戻そうとする動きがある。企業は、より長い育児休暇、フレックスタイム制度などで共働きの夫婦によりよい環境を提供している。ある非公開株投資会社だけが、女性社員が出張する際、赤ちゃんとベビーシッターの旅費まで出してくれている。

フレックスタイムは、女性や子供のいる親のためだけの制度ではないという認識が広がっている。男性も、独身の社員もフレックスタイムを利用したいのだ。男性も女性もどちらも利用できるようになると、女性もこの制度を取り入れやすくなるだろう。

今でも、家で行うことのできる仕事はある。サンドバーグの#LeanInTogetherのキャンペーンでは、男性により多くの家事を引き受けるように促している。これはときに、男性は外で仕事をするのを止めるように、と聞こえることもあるのだ。

厳しいファイナンスの世界では、配偶者が主夫を務めている女性が増えている。数年前のニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたデータによると、配偶者が主夫を務めている働く女性は、1980年には2980人、2000年には1万6196人だったが、2011年には2万1617人にまで増加していた。

エバーソン一家にとって、ダグが家にいるという決断は、キャロリンのキャリアに転機をもたらした。キャロリンは海外出張が多くなってしまうマイクロソフトでのグローバル役員の仕事のオファーを受けたのだ。家に小さい子供がいる人にとっては、これは非常に辛い仕事だ。

ダグが8月のとある午後、「妻の仕事をポジティブに捉えることにしました」と、裏庭でまた犬のフンの掃除をしながらハフポストに話してくれた。ダグは前の妻との間に2人の息子がおり、孫の誕生を待っている。

エバーソン一家は、マイクロソフトの出張に、2人の娘を少なくとも3か月に1回は一緒に連れていくことにした。「こういうことを一度始めてしまうと、高い給料をもらって家族を養うような仕事に就くのは難しいですからね」とダグが話した。

その頃、メルクは従業員の削減と役員への退職金の支払いを始めた。まさに完璧なタイミングだったのだ。

キャロリンはすぐにFacebookにヘッドハントされ、トップのポジションとしてロンドンに移ってくれるように頼まれた。こうしてエバーソン一家は、半年間家族全員で海外に移ることができたのだ。

「もし私が働いていたら今回の事は無理だったでしょう」とダグが話した。「家族にとって驚くような出来事でした」

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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