自分はずーっと、「好きなことをやってみよう」や「まず行動が大切」と言い続けてきました。
この言葉は裏を返すと「じゃんじゃん失敗しよう!」ということ。成功体験も大切ですが、それ以上に失敗体験も非常に大切だと思うんです。
何かひとつに長く携わると、これは失敗するなぁ...といった勘が働くようになりますよね。自分も縄跳びでは「この演技はシンドイだろうなぁ...」「盛り上がらないだろうなぁ」というのはパッと見てわかります。
でもこれを安易に伝えてしまうのは本当にいい事でしょうか?
実はこれ、親切なようで相手のチャンスを奪ってしまう行為だと思うんです。
■確実に成功体験するにはどうするか?
そりゃ誰だって失敗しないで成功したいですよね。では失敗しないで成功するにはどうしたらいいでしょうか?
答えは簡単で勝てる戦いに挑めばいい。自分よりも弱い相手や有利な状況で勝負をすればいいんです。高校生が小学生と算数のテストで勝負すればほぼ100%勝てますよね。
もしくはリスクのある戦いをしないことです。勝てる見込みが8割ならOK、6割なら微妙、4割なら撤退。この姿勢を貫けば失敗を経験せずに済むことでしょう。
たしかにこれらの方法なら成功体験はできます。でもこれって非常に脆いんですよ。だって勝てる勝負ばかりしていたら、チャレンジ精神が失われるのは目に見えてますよね。
イソップ物語の狐みたく「あんなことで必死になってるなんて馬鹿らしい」とか言い出したら危険信号です。
■準備に終わりは来ない
ある時、自分はアクトの一部の振付を変更するプロジェクトを立てていました。もっと良い動きができる、なにか新しいことがしたい!という思いから練習を始めたのです。
しかし本番のショーで新しい振付がお目見えする日は来ませんでした。もう何通りもの振付を創作しては、細かい欠点や気に食わない動きに目が行きます。そのうちに新しい振付を創作すること自体に飽きてしまい、結局なにも変わらないままで終わってしまいました。
このように、成功体験ばかり求める人は万全の体勢を整えようとします。勉強・練習・下調べを重ね、来る日のために着々と準備を進める...。しかし断言できます。こういう人には悲しいかな、来る日は来ません。
なぜなら準備するほどに不足が見つかり、更に準備をしないと不安になる。そしてまた準備を繰り返す、、、こうして準備という洗練を重ね時間を費やす。最後には「今準備してるんだ!!」と排他的態度へとたどり着きます。
自分も新しい振付を「えいやっ!」とショーに投入すればよかったんです。例え失敗しても少しずつ本番を通じて修正を繰り返していけばよかった。そうしていれば今頃全く別の振付に進化していたことでしょう。
■人は失敗体験からの方が多く学ぶ
失敗体験は成功体験より貴重です。なぜなら自ら率先して実行しなければ得られないからです。挑戦して達成できなかったことを失敗体験と言います。また「何もしなかった」という失敗を後悔と呼びます。
また本当に成功したいと思っている人であれば、何も言わずともあなたの失敗を学んでいます。あえて失敗について助言する必要はありません。
後輩や仲間の挑戦を前に「それ、本当に大丈夫?」「失敗しない?」といった助言は思いやりの親切に聞こえます。でも本当に相手を尊重するのであれば、優しく背中を後押しあげてはどうでしょうか?
(2015年3月2日「なわとび1本で何でもできるのだ」より転載)