「五輪は私の夢。チャンスを下さい」とメドベージェワがIOC理事会で演説(全文)

「ロシア国旗なしで五輪に出場するという選択肢を受け入れられません」とも語った
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メドベージェワ選手
Albert Gea / Reuters

国家ぐるみで選手らにドーピングをさせていたロシアが、韓国・平昌冬季五輪(2018年2月)に選手団を送ることができなくなった。この決定を下した12月5日の国際オリンピック委員会(IOC)の理事会では、ロシアのフィギュアスケート世界女王、エフゲニア・メドベージェワ選手が選手団の派遣を認めるよう訴えた。

メドベージェワ選手は「五輪は私の夢です」「ロシア国旗なしで五輪に出ることは受け入れられない」などと主張した。

理事会は、潔白が証明された選手については「中立選手」として参加を認めると決めた。ロシアを代表する立場ではないため、国旗を掲げることや、国歌の斉唱はできないという。

理事会後、メドベージェワ選手は平昌五輪への出場について記者団から問われると、「もう少し話し合うことになる。答えるのは時期尚早です」と話した。メドベージェワ選手の演説は以下の通り(ロシア・オリンピック委員会が公表)。

親愛なる国際オリンピック委員会会長様、親愛なる委員会の皆様

本日、この場にいられることは大変な名誉です。ロシアのスポーツ選手を代表して演説をお許し頂き、感謝申し上げます。

私は最近まで、ロシアのスポーツに関するネガティブなニュースに触れないようにしてきました。ロシアのスポーツ選手は潔白であり、そのことについて心配することはないと考えていました。

もし誰かが本当に反ドーピングのルールに違反したとしても、私たちには関係ありません。

2014年、私はまだ14歳でした。ロシアのナショナルチームにすら入っていませんでした。平昌は私にとって、五輪という素晴らしい雰囲気を味わう初めてのチャンスです。なぜ、私やロシア代表団の選手たちがそのチャンスを失わなければならないのか理解できません。

私はたくさんの大会に出場しましたし、世界選手権を2度制覇しました。それを誇りに思っています。しかし、五輪は私の夢です!

どんな人間にも夢があり、みなさんも自分の才能を使うチャンスがあったはずです。私にも同じようにチャンスを下さい!平昌五輪のあとに、自分が五輪に出場できるかなんてわかりません。

私は常に、五輪に出場するために氷上で頑張らなければならないと思ってきました。残念ながら今、私は、自分ではどうすることもできない事情によってそのチャンスを失う可能性に直面しています。

私は、「中立選手」としてロシア国旗なしで五輪に出場するという選択肢を受け入れられません。私は自分の国を誇りに思っていますし、国を代表して五輪に出場するというのは私にとってこの上ない栄誉なのです。

国を代表することは、私に力を与えてくれますし、演技中であれば私を励ましてくれます。

(ロシア選手団が五輪に出場することは)ほかの選手たちにとっても、競技自体にとっても重要です。私がロシア選手団として出場しないなら、本当の意味で競うことにはなりません。そしてそのような可能性はほかの選手たちにもあるのです。

五輪憲章には、「すべてのスポーツ選手には平等な可能性がある」と書かれています。それは単に言葉だけの平等を言っているわけではないはずです。

親愛なる委員会の皆さん!私は約束します。もし平昌五輪に出場できるのであれば、私は自分の国を代表し、あらゆる五輪の活動に恥じない振る舞いをし、あなた方を失望させないようにすることを。ご清聴ありがとうございました。