ヨーロッパ最大の国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン」の決勝が5月14日、イタリアのトリノで開かれた。優勝したのはウクライナ代表のバンド「カルシュ・オーケストラ」。ユーロビジョン公式サイトで発表された。
バンドメンバーは演奏終了後、「ウクライナを、マリウポリを、アゾフスタリ製鉄所を助けてください」と観衆に訴えた。
ウクライナ西部の港湾都市マリウポリはロシア軍に包囲された状態が続いており、市内のアゾフスタリ製鉄所には負傷したウクライナ軍の兵士が約600人残っているとされている。
■メンバーは国外移動の特別許可を得てユーロビジョンに参加していた
このバンドは、ラップとウクライナの民族音楽を融合させているのが特徴。
エントリー曲の「ステファニア」を歌い上げると、会場にはウクライナ国旗が振られ、大きな歓声に包まれた。ボーカルのオレフ・プシュクさんが「皆さん、お願いします。ウクライナを、マリウポリを、アゾフスタリ製鉄所を助けてください。今すぐに!」と呼びかけていた。
ロシア軍からの軍事侵攻を受けた2月24日から、ウクライナでは18歳から60歳までの男性は徴兵対象となり出国が禁じられている。米紙ニューヨーク・タイムズによると「カルシュ・オーケストラ」のメンバーはユーロビジョンに参加する特別な許可を得ているという。
ボーカルのプシュクさんはウクライナで薬、交通手段、宿泊施設を提供する組織を運営している。バンドが優勝したとしてもウクライナに戻り、徴兵があれば応じる考えを示していた。