パリ同時テロの発生を受け、ヨーロッパ連合(EU)は11月17日、ブリュッセルで国防相理事会を開き、フランスが要請したEU条約に基づく集団的自衛権の行使を初めて決定した。加盟国がどのような支援をするかはまだ不明だが、過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討に向けて、欧州の連帯をアピールするねらいがあるとみられる。ガーディアン紙などが報じた。
EU条約では、加盟国への武力攻撃があった場合に、他の国が集団的自衛権を行使することが定められている。ただし、軍事同盟の北大西洋条約機構(NATO)と違い、必ずしも軍事的な協力というわけではない。EUで外務・安全保障を担当するフェデリカ・モゲリーニ氏は、各国がフランスに対してどのような対応を行うかは、今後、フランスとそれぞれの国が協議すると説明した。
アメリカのニュースメーディア「デイリービースト」は、NATOでの集団的自衛権行使ではないことについて、理由の一つとしてNATOの一員であるカナダの存在を挙げている。NATOは全会一致の原則をとっているが、カナダのジャスティン・トルドー次期首相は、ISとの戦いから戦闘機を引き上げる方針である。
また、デイリービーストは、フランスのオランド大統領が、ロシアのプーチン大統領にテロに対して「象徴的」となるような協力を仰ぎたいと考えているとも指摘。ロシアはアメリカも加わるNATOには加盟しておらず、シリアへの空爆をめぐってNATOとの関係が悪化していることも、フランスがNATOではなくEUに協力を求める背景にあるとみられる。
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー