市原さんは数々のドラマや映画作品で名演しただけでなく、童話の朗読に取り組んだり、大ヒットアニメ映画「君の名は。」にも声優として出演したりした。
幅広い活躍をみせた名優の悲報に対し、共演者たちからは追悼の声が相次いだ。
「君の名は。」にも出演
市原さんは1964年、演劇「ハムレット」でゴールデンアロー賞の新人賞に輝いた。この時、共演したのが仲代達矢さん(86)だ。
NHKニュースによると、仲代さんは市原さんの訃報を受け、「演劇の役者にとっては、声というものが猛烈に大事。市原さんは、声の質をもってものを言う才能を、先天的に持っていた。天性の、俳優になるべき俳優でした」などと語った。
NHK大河ドラマ「秀吉」(1996年)でともに出演した竹中直人さんも追悼コメントを出した。市原さんは、竹中さん演じる秀吉の母、大政所を演じた。
竹中さんはコメントの中で「市原さんの深い愛を持った声の音色はあの頃のぼくに勇気と力を与えてくれました。そして今もぼくの耳に深く残っています」などと述べた。
市原さんは声優にも挑戦した。新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」(2016年)で、ヒロインの祖母、宮水一葉(みやみず・ひとは)を演じた。
新海監督はTwitterで「初めて市原さんにお会いした瞬間、初めてセリフをいただけた時の感動、披露試写であたたかいお言葉を頂いた時、すべてつい昨日のようです」などと悼んだ。
戦争童話の朗読も
数々のテレビドラマや映画で名演してきた市原さんには俳優とは別の「顔」もあった。朝日新聞デジタルによると、市原さんは幼少期に戦争を体験したことから、1980年代以降は戦争童話の朗読に取り組み、その様子を収録したDVDシリーズが発売されている。